イギリス・ロンドン

イギリスのヨーロッパ最大の鉄道建設プロジェクトに採用

本プロジェクトの「クロスレール」構想は1880年代にまでさかのぼります。その後1944年にロンドン市街の人口過密解消を目的とした「大ロンドン計画」を発端として検討され始めましたが、第二次世界大戦中のため国会で審議されたのは1980年代でした。1985年にカナリーワーフ・プロジェクトと呼ばれるウォーターフロント再開発計画が発表。しかし、148億ポンド(約2兆5000億円)にのぼる高額な工事費用を工面するめどが立たず、法案化は30年後の2008年まで待つこととなりました。

当時の首相・ブラウン首相も大きな期待を寄せていた本プロジェクト。水深10mに及ぶ運河の底に、駅舎基礎を構築する難易度の高い工事でした。従来工法では施工が不可能と判断されていたところ、当社グループにより実現。起工式では、ジョンソンロンドン市長とアドニス運輸大臣が起動ボタンを押して鋼管「クラッシュパイラー」の最初の圧入を行い、その模様が全英にテレビ放送されました。

採用理由

現場はビジネス街のうえ、最大換算値N値750という硬質地盤でした。振動・騒音がなく、仮設レスで硬質地盤に施工ができること、また掘削土の排出で運河の水を汚濁させない、従来のコンクリート連続壁工法にはない「硬質地盤クリア工法」の優位性が工法選定審査で高く評価され、特命で工法指定を受けました。さらに、ワンステップアプローチ(仮設兼本設)かつ2台施工により、大幅な工期短縮を実現。工場生産された高品質の建設資材(場所打ち杭とのコンポジット構造杭)を連続して圧入するため、安定した高強度の壁体構築も叶えました。

事業概要

工事名:クロスレールプロジェクト アイル・オブ・ドッグス地下鉄駅舎新設工事
工事場所:ロンドン市カナリーワーフ,イギリス
使用機材:鋼管 クラッシュパイラーⓇ SCP300(2台施工)
杭材型式・寸法:鋼管矢板(直径1219㎜、長さ18.1~18.5m)303本
圧入工工期:2009年4月~2009年10月

 

建設が進む地下鉄駅舎 2014年5月26日