当社グループでは、事業活動に影響を及ぼす大規模災害(南海トラフ地震、首都直下型地震、台風・豪雨による大規模水害)などの緊急事態の発生時にも、従業員の安全確保と圧入工法による更なる被害拡大防止のための早期の事業再開の実現及びステークホルダーの皆様の利益の喪失を最小限に抑えることを目的に、BCP(事業継続計画)を策定しています。当社グループは、事業を通じて世界の国土防災・災害復旧に貢献しています。その事業活動において、いかなる事態に直面しても速やかに回復、継続できる強靭な組織となることで、企業としての社会的責任を果たし続けてまいります。
1.BCPの目的
2.危機管理体制~危機管理対策本部・BCP対策本部~
起こりうる大規模災害を想定した危機管理体制として、代表取締役社長をトップとする危機管理対策本部および対策本部事務局の設置を定めています。また、危機管理対策本部立ち上げ後に中核事業である圧入機の生産継続を速やかに行うため、製品事業の担当役員もしくはその代行者がBCP対策本部を設置します。
震度5弱以上の地震や、その他自然災害により事業活動が甚大な被害を受けた場合、危機管理マニュアルに基づいて従業員の安否や被災状況を確認し、協力企業と緊密な連絡を取り、圧入機の生産体制を構築します。
高知本社と東京本社の二本社制とすることで、どちらかの地域が被災した場合でも、迅速に危機管理対策本部およびBCP対策本部を設置できる体制としています。
また、有事の際に従業員が自主的に行動できるよう、平時より地区毎の危機対策訓練の実施、安否確認システムや防災備蓄品の確認、救命講習会などを定期的に実施しています。
3.対象地点の状況と対策
高知本社(高知市布師田)
〇南海トラフ巨大地震の震度・津波浸水の想定
最大震度:6強~7
最大浸水深:0.3~1.0m
浸水深30cm到達時間:60分以上
〇南海トラフ地震の津波浸水予測図
(出典:高知県防災マップ http://bousaimap.pref.kochi.lg.jp/)
〇降雨による洪水ハザードマップ
(出典:高知市洪水ハザードマップ https://www.city.kochi.kochi.jp/soshiki/135/kochi-kouzuihm-saidai.html)
想定される災害に対して、以下の対策を行うことにより早期の事業再開に備えています。
・サーバーなど事業再開に重要なデータはクラウドやデータセンターを使い対策を行っています。
・高知本社新館の屋上に約300人収容できる避難場所を整備しています。
・新館建物には当社独自の耐震技術「拘束地盤免震※」を採用し、地震による揺れと液状化の程度を抑える構造としています。
・高所への重量物保管時には荷縛りを施し、転倒・落下を防止しています。
・防災備蓄として水、非常食、毛布などに加え、非常時に使用可能な資機材を新館2Fに配備しています。
・標高が高く津波浸水被害の可能性が低い香南市香我美町にも用地取得し、被災後の復旧・復興に向けた資機材の備蓄準備を進めています。
また、高知本社周辺の国分川、久万川の堤防は、現在、高知県により耐震対策が進められています。
高知第三工場・RED HILL 1967(香南市赤岡町)
〇南海トラフ地震の震度・津波浸水の想定
最大震度:6強~7
最大浸水深:3.0~5.0m程度
浸水深30cm到達時間:40~60分
〇南海トラフ地震の津波浸水予測図
(出典:高知県防災マップ http://bousaimap.pref.kochi.lg.jp/ )
※土地取得時から敷地全体を3~5m盛土することで北側住宅地と同じ高さにしており、 現在は最大クラスの地震でも浸水深は3.0~5.0m程度と想定しています。
〇降雨による洪水浸水想定
(出典:香南市洪水・土砂災害ハザードマップ https://www.city.kochi-konan.lg.jp/soshikikarasagasu/bosaitaisakuka/bousai_anzen/2/1/2562.html)
想定される災害に対して、以下の対策を行うことにより早期の事業再開に備えています。
・高圧受変電設備等、復旧に時間を要する機材は高所に設置しています。
・敷地の周囲に鋼矢板による防水壁を設置しています。
・高所への重量物保管時には荷縛りを施し、転倒・落下を防止しています。
・高知第三工場は鋼管杭を地上から直接回転切削圧入する「ジャイロプレス工法Ⓡ」を日本で初めて建築物の基礎工として採用し、粘り強い構造としています。
・創造館、研究棟は当社独自の耐震技術「拘束地盤免震※」を採用し、地震による揺れと液状化の程度を抑える構造としています。
建物直下の地盤を鋼矢板の連続壁で締め切る「拘束地盤免震」を採用
東京本社(東京都江東区有明)、東京工場(東京都足立区入谷)、関東工場(千葉県浦安市)
〇首都直下型地震の震度・津波の想定
最大震度:6強~7
津波:1m以下(東京湾)
〇首都直下型地震の震度・焼失棟数分布
(出典:内閣府ホームページ https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/74/special_01.html)
〇高潮による浸水想定
(出典:千葉県 高潮浸水想定区域図(浸水深) https://www.pref.chiba.lg.jp/kakan/shinsui/takashio/shinsuishin.html)
〇首都直下型地震による液状化の想定
(出典:千葉県地震防災地図(平成28年度作成) https://www.pref.chiba.lg.jp/bousaik/higaisoutei/bousachizu.html)
〇荒川氾濫時の洪水浸水想定
(出典:足立区洪水・内水・高潮ハザードマップ https://www.city.adachi.tokyo.jp/kikaku/bosai/bosai/hazard-map-k.html)
想定される災害に対して、以下の対策を行っています。
・安否確認システムの運用チェックを定期的に実施しています。
・防災リュックを各自が保管し、中身のチェックを定期的に実施しています。
・防災備蓄品を高所に配備しています。
・高所への重量物保管時には荷縛りを施し、転倒・落下を防止しています。
・従業員の自宅(社宅)は原則2F以上としています。
・帰宅困難者のために東京都が一時滞在施設として開放している施設をマニュアルに記載し、周知を図っています。
・延焼・浸水の危険性の高い区域を共有し、避難経路を従業員に周知。いち早く避難できるよう、防災訓練時に実際に経路を確認しています。
定期的な防災訓練の実施
関西工場(兵庫県丹波市市島)
〇関西工場に影響を与える地震の震度想定
(出典:丹波市地震ハザードマップ https://www.city.tamba.lg.jp/soshiki/bousai/bousaimapzentai.html)
(1) 三峠断層帯地震(山南地域版は山崎断層帯地震)
最大震度:6弱
(2) 御所谷断層帯地震
最大震度:5強
(3) 東海・東南海・南海地震
最大震度:5強
〇降雨による洪水浸水想定
(出典:Web版丹波市防災マップ https://www.city.tamba.lg.jp/soshiki/bousai/web-bousaimap.html)
想定される災害に対して、以下の対策を行っています。
・高圧受変電設備等、復旧に時間を要する機材は高所に設置しています。
・高所への重量物保管時には荷縛りを施し、転倒・落下を防止しています。
・安否確認システムの運用チェックを定期的に実施しています。
・防災リュックを各自が保管し、中身のチェックを定期的に実施しています。
・防災備蓄品(水、食料品)を工場と事務所に配備しています。
4.生産体制の早期復旧に向けた対策
基本方針
● 仕入先及び主要取引企業において緊急事態があった場合、協力企業との連絡を密にして圧入機の生産を維持します。
● 重要業務となる協力企業での生産を継続できるように、緊急事態により被災した主要取引企業の工場停止による生産への被害拡大を防止するとともに最短復旧に努めます。
● 当社又は協力企業緊急事態下においては、適宜生産継続に必要な業務や生産継続対応を主要取引企業へ振り分けます。
● 協力企業緊急事態下においてもコンプライアンスに努めるほか、取引上の商道徳を高く維持します。
目標復旧時間・目標復旧レベル
大規模災害による重要製品・部品の生産停止からの目標復旧時間・目標復旧レベル※を、以下のとおりに設定しています。
目標復旧時間 :災害発生後40日以内に復旧
目標復旧レベル :全体の生産量に対して80%にまで回復
工場建屋の倒壊、浸水は無し。電力通信の復旧は1週間後。津波による浸水は無し。
BCPを発動した際は、主要取引企業の重要製品生産業務を優先的に継続もしくは復旧させるために、他の業務に従事している従業員や設備を、適宜生産継続に必要な業務や協力企業へ振り分け、共同して早期復旧を図ります。
◇生産拠点について
災害時のリスク軽減策として、圧入機・パワーユニット・周辺機器の分散生産の運用に取り組み、停止時の行動目標の実効性をBCM活動で進めています。
5.サプライチェーンの確保手段
製造のために必要な購入部品についても、緊急事態により部品入手困難となる恐れが予測されます。そのため、構成ごとに重要部品の2社購買を推進することで、調達を維持し生産への影響を最小限にしています。
また、生産体制の早期復旧のため、サプライヤーと一体でサプライチェーンの強靭化を図ることを目的に製造部の調達部門を通じて、サプライヤー各社のBCP構築のサポートを進め、情報の共有を図っています。
このBCPは地震等の災害の想定条件の変化や、当社の体制等の条件の変更等を踏まえ、必要な時点で修正をしていきます。