代表メッセージ

当社は1967年、「公害対処企業」を掲げる土木会社として創業をし、1975年には世界で初めて「圧入原理」を実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を発明・開発。建設公害の元凶と言われた杭打ち工事による振動、騒音問題を解決するとともに、これまでに無かった圧入業界を創出しました。以来、合理的な新しい工法、新技術を次々に生み出し社会に提案、供給し続けています。

圧入技術が提供する価値は工事の無公害化だけではありません。“仮設レス施工”を通じたCO2の削減、省人化、工期と工費の縮減、高い安全性、高い施工精度などの圧倒的な原理的優位性は、社会変革や気候変動など、今後起こる大きな変化にも対応しうるものです。この原理に則った最も合理的で効率的な工法を普遍化し、新しい社会を構築していくことが私たちの使命である「工法革命」です。

国民の生命と財産を守り、文化的な生活を向上させる建設工事は、本来、誰もが安心し信頼できる工法によって、合理的に構造物が造られなくてはなりません。そこで私たちは、国民の視点に立った建設工事のあるべき姿を実現する工法要件を「環境性」「安全性」「急速性」「経済性」「文化性」の5つに集約し、工法革命を具現化する工法選定基準「建設の五大原則」として定めました。これに基づき、圧入技術を駆使した「インプラント工法」で構築するすべての構造物は、建設の五大原則を高次元で遵守します。

これまで当社は常に、科学的な圧入原理の優位性を基軸に工法や機械の開発を進め、現場において実践を積み重ねてきました。この実績と経験を基に、構造物の企画から設計、機械、部材の開発、施工、完成後の維持管理までを「パッケージ」で提案できる企業として成長しています。私たちはこれまでの建設機械メーカーや基礎工事専門会社ではありません。世界の社会課題に対してソリューションを提案、提供し、大きな変革に対応する「グローバルエンジニアリング企業」としてさらなる成長を目指しています。

これまで全世界に提供してきた約3600台のサイレントパイラーは40以上の国と地域で活躍しています。私たちが掲げる「インプラント工法で世界の建設を変える」はお飾りとしての経営方針ではなく、現実に国内外で同時進行しているプロジェクトそのものです。2020年には世界が注目する一大案件、オランダの世界遺産「アムステルダムの環状運河地域」の護岸改修工事において、プロポーザルで圧倒的評価を受け採用が決まり、2022年秋よりパイロット施工も始まりました。このように社会課題に対して技術提案を行い、圧入市場の創造を実現したこの成功パターンを各国でも同様に展開しており、今後、世界中で圧入業界がさらに発展していくことに大きな期待をしています。2021年には国の「月面等での建設活動に資する無人建設革新技術開発推進プロジェクト」に当社の圧入技術が採択されました。地球から宇宙へとフィールドを広げ、世界中で稼働しているサイレントパイラーが月や他の惑星でも活躍する未来を目指していきます。

社会課題の解決。これが当社の原点です。「公害対処」から始まり、時代の変化に伴い生じてくるあらゆる課題に、私たちは立ち向かいます。激甚化する自然災害にも耐える強靭なインフラの整備、CO2排出量削減に寄与する機械の電動化、労働人口減少に対する施工の省力化・無人化―――。しかしこの未来は、「今」の延長線上にはありません。そこであるべき姿を描き、逆算し、なすべきことを明確にした長期ロードマップ「GIKEN GOALS 2031~工法革命で未来を切り拓く~」を策定しました。これからも社員一人ひとりが同じGOALに向かって具体的な行動を起こし、グループ一丸となって「インプラント工法で世界の建設を変える」工法革命の実現に向け邁進してまいります。

株式会社 技研製作所  代表取締役社長
森部慎之助