TCFD提言への取り組み

TCFD提言への取り組み

 

当社は、TCFD (気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明しています。

温室効果ガスによる地球温暖化がもたらす気候変動は、事業活動にとってリスクとなる一方、収益機会の獲得にもつながります。当社グループは、これら気候変動に関連するリスク・収益機会の特定と対処を経営上の重要な課題の一つと捉えており、自社の事業活動に与える影響について分析・検討し、TCFD提言に沿ってまとめました。

工事全体のCO2排出を大きく減少できる「仮設レス施工」の提供、施工時のCO2排出ゼロを可能とする電動圧入システムの開発、激甚化する自然災害に粘り強く耐える「インプラント構造物」の構築――。圧入技術の優位性を核とする当社グループは、事業そのものが気候変動対策に貢献しており、その推進は「公害対処企業」として創業した当社にとって使命でもあります。

今後も引き続き、気候変動に関連する取り組みを推進するとともに、グローバル・エンジニアリング企業として持続可能な社会の発展に貢献してまいります。

※TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
G20からの要請を受け、金融安定理事会(FSB)が2015年に設立。気候変動によるリスクおよび機会が経営に与える財務的影響を評価し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について開示することを推奨しています。

ガバナンス

当社グループ取締役会は気候変動問題への対応を重要な経営課題の1つとして認識しており、気候変動問題への取り組みを監督しております。具体的には、取締役会において経営戦略や経営計画等について審議を行う際に、必要に応じて、気候変動問題に関連したリスクや機会を踏まえたうえで、意思決定を行っております。

また、当社取締役会はサステナビリティに関する取り組みを推進するため、取締役を委員長、経営層ならびに次世代を担う管理職候補者など代表取締役社長の指名する者を委員とする 「サステナビリティ委員会」の設置を202210月に決議いたしました。サステナビリティ委員会は、気候変動への対応を含む経営に関する重要な事項に対して、サステナビリティ視点で提言および施策のフォローを行っています。取締役会はサステナビリティ委員会の活動に関する報告を受けるなど適切に監督を実施しています。

戦略

気候関連のリスクと機会が当社の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響の評価、およびそれに対する対応策を検討するために、以下の前提を用いて、シナリオ分析を実施しました。

分析にあたり、対象は連結決算ベースの全事業、時間軸としては2030年を選択しました。また、シナリオについては、産業革命前に比べ2100年までに世界の平均気温上昇が2℃未満に抑制される 「2℃未満シナリオ」と、4℃上昇する「4℃シナリオ」を選択しました。「2℃未満シナリオ」ではIEASDSシナリオ(Sustainable Development Scenario)とIPCCRCP2.6等を、「4℃シナリオ」ではIEAのSTEPシナリオ(Stated Policies Scenario)とIPCCRCP8.5等を選択しました。

シナリオ分析の前提

※1 IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)
※2 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)

 

まず、気候変動がもたらすと思われるリスク・機会を幅広く洗い出したうえで、影響度が大きくなると予想される項目に絞り込みました。次に、影響度の試算に必要なパラメーターを収集し、2030年頃における財務インパクトについて、2℃未満シナリオと4℃シナリオそれぞれに基づいて試算を行いました。試算の結果に対して、組織戦略におけるレジリエンスを高めるための対応策を検討しました。

気候変動がもたらすリスク

気候変動がもたらす機会

リスク管理

当社は、企業活動に伴うリスクの的確な把握とその防止、または発生時の影響を最小化に努めることが、企業価値の向上とステークホルダーに対する社会的責任を果たすことにつながると考え、グループ全体を包括するリスク管理体制を構築しています。

重要な意思決定事項に関しては、取締役会に付議し、個別事案ごとにリスクを抽出・評価のうえ、リスクが顕在化した場合の影響を最小化するための対策が妥当であるかについて議論し、意思決定を行っています。気候関連のリスクに関してはサステナビリティ委員会で議論し、取締役会に報告され、必要に応じて審議しています。

また、各部門においては、業務プロセスに内在するリスクを把握し、必要な回避策・低減策を講じたうえで業務を遂行するとともに、内部監査室が、各部門のリスク管理状況を監査しています。

今後はさらなるリスク管理の高度化をめざし、リスク管理体制の強化を進めます。

指標と目標

「公害対処企業」として創業した当社は、これまでも事業を通じて環境問題に対するソリューションを提供し、サスティナブルな社会形成に貢献してきました。さらに2050年度カーボンニュートラル達成に向けた取り組みを推進すべくグループの活動に伴うCO2排出量の削減目標を策定しました。

CO2排出量削減目標

※1 Scope1:燃料などの使用による直接排出
   Scope2:購入電力などのエネルギー起源の間接排出
※2 Scope3:Scope1,Scope2以外の間接排出