圧入原理と優位性

圧入とは

既製杭設置方法の種類

圧入とは、既製杭(工場生産された鋼杭やコンクリート杭など)を地盤中の所定の深度まで貫入し設置する既製杭設置方法の一つで、油圧ジャッキや多滑車などを用いた静荷重によって貫入させます。
打撃や振動により既製杭を地盤中に設置する打込み方式では、必然的に振動や騒音といった建設公害を発生させます。また地盤を削孔して既製杭を設置する埋込み方式では、余分な排土や泥水が発生します。圧入は他の設置方法と比べ、周辺環境に及ぼす振動や騒音が小さく、地盤を乱さず、汚泥が発生しないという長所を有しています。

従来、圧入の適用範囲は、比較的容易に貫入させることのできる小口径杭かつ小深度に限られていましたが、複数の既設杭(完成杭)の引き抜き抵抗を反力とする油圧式杭圧入機※1ならびに様々な貫入技術の開発により、他の既製杭設置方法と同等以上にまで拡大しています。

※1 一般に「油圧式杭圧入機」とは、杭圧入機やカウンターウエイト等の自重を反力として油圧装置により杭を地盤に押し込む機械を言います。ここでは、杭圧入機の自重に加えて、複数の既設杭(完成杭)をつかむことでそれら杭の周面摩擦等をも反力として、他の杭を静的に圧入あるいは引き抜くべく開発された油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を言います。

地球をつかみ反力とする

圧入のメカニズム

圧入により地盤に貫入される杭には、地盤との周面摩擦抵抗、先端抵抗、完成杭との継手間抵抗が発生します。これらの総和は、貫入抵抗力と呼ばれ圧入機を持ち上げる「圧入の反作用力」として働きます。

圧入では、この反作用力よりも大きな「反力」がなければ、杭を地盤に押し込むことはできません。地球の重力を反力として用いる方法もありますが、機械装置が大型化し実用的ではありません。

当社が開発した圧入機サイレントパイラーは、すでに地中に押し込まれて地球と一体化した杭(完成杭)を複数つかみ、それら杭の引き抜き抵抗を反力とします。つまり、サイレントパイラーは地球をつかみ、反力とすることで、軽くて小さな機体でも大きな力を発揮できます。

静荷重で押し込む

圧力球根の生成をコントロール

杭が地盤に貫入していく過程で、杭先端部には「圧力球根※1」と呼ばれる圧密された土の塊ができます。

この圧力球根は、完成杭(施工が完了した杭)においては、杭自体をしっかり支えるという重要な役割を果たしますが、施工中には杭の貫入を阻害する要因の一つとなります。

サイレントパイラーは、施工中の杭に加える力の方向や大きさ、そのスピードを高精度に制御できます。圧入施工では、これら制御機能を駆使することで圧力球根の生成をコントロールし、地球にしっかりと支えられた良質な完成杭を構築できます。

※1圧力球根とは、地盤に荷重が加えられた際、鉛直応力あるいは鉛直応力と上載荷重の比が等しい地盤内部の点を結んで得られる球根状の局面郡

高品質な構造体を構築

高品質な構造体を構築

圧入は杭に静荷重を加えて地中に押し込む「載荷方式」のため、完成後の構造体としての性能(支持力)を施工中に確認・制御することが可能です。そのため設計通りの高品質な構造体を安定して構築することができます。

圧入原理の優位性

圧入原理の優位性

圧入原理の優位性は「地球にしっかりと支えられた完成杭を構築できる」ことに加え、以下の優位性を有しています。

環境性

静荷重で杭を押し込む方式のため、騒音や振動などの建設公害を発生させない。
圧入機は軽量コンパクトなため、工事の影響範囲は最小限に抑えられる。

安全性

圧入機は常に圧入した杭につかまっているため、原理的に転倒の危険性がない。
工場生産された既製杭を直接圧入するため、高品質な完成杭を安定して構築できる。

急速性

圧入機は小型で圧入工程はシンプルなため、複数機の同時稼動に適し工期を短縮できる。
規制の厳しい地域や夜間でも工事時間帯の制限を受けることなく施工できる。

経済性

工事の影響範囲が狭いため、交通渋滞などを発生させず地域の経済活動を阻害しない。
目的の機能に合った杭を工場生産し、現場作業を合理化することで効率化が図れる。

文化性

圧入杭を正確に制御できるため、複雑な施工形状でも高精度に構築できる。
施工中の杭の性能を確認・制御できるため、高品質な完成杭を構築できる。

圧入原理の実用化

サイレントパイラー1号機-KGK-100A型

サイレントパイラー1号機
KGK-100A型

「すでに地中に押し込まれて地球と一体化した杭、その杭をつかんで反力とし、次の杭を静荷重で地中に押し込む」という圧入原理は、当社創業者である北村精男により、日々繰り返される建設工事の中から“気付き”により発見され、実用化に至りました。建設現場で土留め壁として地中に打ち込んだ杭を引き抜く際に、地中の土が杭にまとわりつき容易に引き抜けないという経験から、地中に打ち込んだ杭を複数本をつかむことで「地球と一体化」したことになり、大きな力を出すことができるのではないか、そしてその力を利用することで振動・騒音のない無公害杭打機ができるのではないかという発想です。

時代は高度経済成長期、大規模建設が次々と行われ、杭打ちの騒音と振動は大きな建設公害として問題視されていました。「建設公害を一切出さずに工事をする方法はないか」と公害対処企業を志して創業した北村は、そうした発想をもとに機械開発を進め、1975年7月に圧入原理を具現化した無公害型の油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー(KGK-100A型)」が誕生しました。