建設のあるべき姿を実現するには、構築方法のみならず構造物自体のあり方をも革新する必要があります。これまで建設の主流を成してきた「永久構造物」の考え方は、構造物の機能が永久に変わらない前提であり、完成した構造物は、必然的に「過剰な安全設計 = 過剰なコスト」となります。また、撤去を前提としていないので構造物を作り変える場合には、さらに大規模な工事となります。
社会は常に変化し価値観が永久に続くことはありません。構造物も必要とされる機能を発揮する期間に限りがあり、いずれは不要となる時が訪れます。科学技術や文化の進歩が著しい現代においては、目的・場所・機能を固定化する「永久構造物」という思想から脱却し、社会ニーズの変化に柔軟に対応できる新しい構造物のあり方が求められています。