鋼矢板を用いた世界初の建築構造を採用

RED HILL 1967「創造館」「研究棟」に。5月オープン

2023.3.30 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)は、高知県香南市赤岡町で整備を進めている、圧入技術の情報発信基地「RED HILL 1967※1」内の「創造館(世界杭打機ミュージアム)」と「研究棟」の建築にあたり、主要構造材を鋼矢板とした世界初※2の構造を採用しました。創造館は、拘束地盤免震※3を応用することで軟弱地盤上に鋼製の直接基礎を設置。研究棟では杭基礎、柱、壁をそれぞれ構築するのではなく、鋼矢板を圧入し、それらの機能を一体的に持たせた連続壁で建物を構築しました。両建築物とも建築基準法に定めのない材料と構造ですが、科学的に安全性を証明し、国土交通大臣認定を受け、このたび完成しました。これらの建造物を含めた「RED HILL 1967」は5月より一般公開する予定です。

「工法革命」を掲げる当社にとって、建設業界の既成概念、前例主義の打破は成し遂げなければならないミッションです。建設のあるべき姿の実現にはサステナビリティへの配慮が不可欠であると考え、2つの建築物は「機能構造物Ⓡ※4」となるよう設計しました。当社はまったく新しい構造の技術提案を進め、国土強靭化等を通じて圧入市場を拡大し、当社グループの成長につなげていきます。

※1 GIKENの機械や工法、構造物などの「実物」を見て、圧入原理の優位性を納得してもらうための施設です。詳細については、過去のニュースリリース(GKN21NW017JA)もご覧ください。
※2 当社調べ
※3 鋼矢板の圧入により建物の基礎となる地盤を囲い締め切ることで、地震による液状化の程度と液状化した地盤の側方流動を抑える、当社独自の耐震技術です。
※4 目的・設置場所・機能を、時代や社会の変化に応じて柔軟に対応させることが可能な、機能重視の構造物です。機能変化や撤去が容易に行えることを前提とした構造で、撤去した部材は、新たな構造物に再利用できます。

創造館(世界杭打機ミュージアム)

創造館(世界杭打機ミュージアム)

研究棟

RED HILL 1967 全景

■鋼製構造物の優位性

【破壊に粘り強く耐える性質】
建築物によく利用されるコンクリートは、過大な力が作用した際にほとんど変形することなく亀裂が進展して、一気に破壊します。一方鋼矢板の素材である鋼は、力が作用した際に大きく変形することで、破壊に対して粘り強く耐えることができます。
大きな地震動に対して、鉄筋コンクリートのように剛性(変形のしにくさ)を高める構造では、力を受け止める柱や壁などの部材を大きくする必要があり、土地活用の点でも合理的ではありません。当社は鋼矢板がもつ柔軟性に着目し、主要構造材に採用しました。

【独自の「うちわ構造」を採用】
しなやかな鋼矢板を建築物の主要構造材に用いて一体的に組み合わせることで、構造物全体が地震動を受けて柔軟に変形します。これにより一つ一つの部材にかかる負荷を軽減し、損傷を防ぐことができます。うちわの骨組みのように力を分散してしなることから、当社はこの構造を「うちわ構造」と名付けました。創造館、研究棟の両方でこの構造を採用しています。

創造館

研究棟

大地震でも弾性限度内で耐え、倒壊も損傷もしないことを3次元モデルで解析
※ 加えた荷重を取り除くと変形、ひずみが無くなる(元に戻る)範囲のこと

■創造館(世界杭打機ミュージアム)

【世界初の建築構造】
創造館は主要構造材に鋼矢板を使用し、拘束地盤免震を応用して軟弱地盤上に鋼製の直接基礎を設置した、世界で初めての建築構造です。軟弱地盤を鋼矢板で囲むことで地震時の地盤沈下を抑止し、鋼製の直接基礎と締切に用いた鋼矢板をタイロッドで連結させることで、軟弱地盤上への直接基礎の設置を実現しました。

【建設時の様子】

①鋼矢板圧入

②圧入完了後

③柱脚(鋼製基礎)設置

④両側斜壁面鋼矢板構築

建物概要

建築面積2423 ㎡(幅27.7m、長さ95.1m、高さ18m)
国土交通大臣認定 認定番号MNNNNNN-11850-1
<鋼矢板使用枚数>
・斜壁部(ゼロ矢板)20 m × 280 枚
・基礎部(ゼロ矢板)6 m × 596 枚
・屋根、妻壁等(ゼロ矢板、ハット形鋼矢板900)281 枚
・総重量997 t

■研究棟

【世界初の建築構造】
鋼矢板の圧入により、杭基礎、柱、壁の機能を一体的に持たせた連続壁で建物を構築した世界で初めての建築構造です。壁体は地盤を囲っているため、拘束地盤免震の構造となっています。また、こちらも世界初の試みとして、エレベーターの通り道であるエレベーターシャフトに直径2mの鋼管杭をそのまま活用しました。
曲線形状の建物で、創造館と同じ鋼矢板を使用しながらも、また違ったデザインとなっています。

【建設時の様子】

①鋼矢板圧入

②鋼矢板圧入完了

③エレベーター用鋼管杭と螺旋階段を設置

④屋根を設置

【建物概要】

鉄骨地上2階建
建築面積846.78 ㎡
(最大幅28.4m、長さ56.2m、高さ8.1m)
延床面積1,118.34 ㎡
国土交通大臣認定 認定番号MNNNNNN-11850-3
<鋼矢板使用枚数>
・鉛直圧入部(ゼロ矢板)6m~13.8m × 282 枚
・応接室壁(ゼロ矢板)0.5m~5.6m × 66 枚
・2 階床(ゼロ矢板)7.5m~11.8m × 61 枚
・屋根(ゼロ矢板)14.7m~17.8m × 104 枚
・螺旋階段(ゼロ矢板)1.5m × 19 枚
・総重量501 t

エレベーター部


■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
東京本社/東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階
TEL:080-3712-7614 広報担当:吉野

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