株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)グループが参画する「オランダの世界遺産運河の護岸改修プロジェクト※」が、国土交通大臣表彰の「第 6 回 JAPAN コンストラクション国際賞」(先駆的事業活動部門)を受賞しました。同部門では海外における「質の高いインフラ」の実現に貢献している活動が選ばれます。今回の受賞では、本邦独自の圧入技術が社会課題解決を目的とした国際コンペにおいて最高評価を受けて採用され、海外における日本企業のプレゼンスを高めたことが評価されました。
日本の優れた技術によって実現する、質の高いインフラ。その輸出が国策として推進される中、本受賞を追い風に ODA(政府開発援助)など大型案件への採用を加速させてまいります。
受賞した事業活動名称:革新的護岸改修のパートナーシップ(Innovation Partnership Quay Walls)

■JAPAN コンストラクション国際賞
国土交通省が国際競争力の強化や海外進出の後押しを目的に 2017年に創設し、毎年公募しています。3部門あり、「先駆的事業活動部門」では、海外での「質の高いインフラ」へ現在貢献している、または将来の貢献が期待される戦略性を持った活動が対象になります。
■オランダの世界遺産運河の護岸改修プロジェクト※
オランダ・アムステルダム市では老朽化した運河護岸の改修(対象 200 ㎞)が課題となっていますが、従来工法では世界遺産の景観や周辺環境に悪影響を及ぼす恐れがあり、工事は難航しています。
そうした中、同市は工事を加速する新技術開発をテーマに世界中からパートナーを公募。当社グループ企業を中心とした合弁会社「G-Kracht B.V.」は 2020年5月、グローバルに活躍する技術を持つ応募16グループの中で圧倒的な最高評価を受け、市と連携協定を結びました。
【本邦独自の圧入技術が評価】
従来工法では仮設護岸の構築と既設護岸の撤去が必要なほか、住民が大切にしている並木の伐採が避けられませんでした。一方、鋼管杭回転切削圧入工法「ジャイロプレス工法®」は、既設護岸を貫いて施工することが可能なため仮設護岸や撤去工事が不要。またコンパクトな機械装置が施工した杭上を自走する「GRB システムⓇ」により、並木の伐採を回避して施工できます。工事課題に対する革新的なソリューションとして圧入技術が採用され、昨年11月より、カーボンニュートラルに貢献する電動圧入システムによって実証施工(パイロット施工)を進めています。今年3月に圧入工程が完了し、次の「商業化フェーズ※」移行に関する協議が、発注者であるアムステルダム市によって始められています。
※ 商業化フェーズでは、8年間で計3.3 km 区間の工事受注が保証されています。

施工中の様子

施工中の様子
【周辺自治体の案件へも波及】
本プロジェクトで圧入技術の優位性が注目、評価された結果、同国デン・ハーグ市の運河護岸改修事業※にも「ジャイロプレス工法®」が採用されました。老朽化した護岸の改修はオランダの多くの都市で課題となっており、アムステルダム市の現場と同様、施工スペースの制約や景観保護が求められている現場は多数あります。アムステルダム市のプロジェクトで採用されて以降、同国では圧入技術の浸透が確実に進んでおり、今後も欧州における他自治体の案件への波及、海外でのプレゼンス向上が期待できます。
※詳細については過去のニュースリリース(GKN22NW012JA)もご覧ください。


施工中の様子(デン・ハーグ市の運河護岸改修事業)
■協定、実証施工概要
協定名 | Samenwerkingsovereenkomst voor de Onderzoek- en Ontwikkelfase van het Innovatiepartnerschap Kademuren (AI 2018-0423) (アムステルダム市運河護岸イノベーションパートナーシップの研究開発フェーズに関する協力 協定(AI 2018-0423)) |
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協定者 | オランダ・アムステルダム市と G-Kracht B.V. < G-Kracht B.V.構成社> ・技研ヨーロッパ ・Gebr. De Koning B.V.(デ・コーニング社) ・Van Gelder B.V.(ヴァン・ゲルダー社) |
業務名 | AI 2018-0423 Innovatiepartnerschap Kademuren Gemeente Amsterdam (AI 2018-0423 アムステルダム市運河護岸イノベーションパートナーシップ) |
工事場所 | Singel 284, 1015BB Amsterdam |
発注者 | アムステルダム市 |
元請業者 | G-Kracht B.V. |
施工者 | G-Kracht B.V. |
使用機材 | ジャイロパイラーⓇ GRV0611e、クランプクレーンⓇ CB2-11 |
杭材型式・寸法 | 鋼管杭(直径 508 ㎜、長さ 13.75m~25.73m)271 本 |
実証施工期間 | 2022年9月 ~ 2023年7月予定 |
圧入工工期 | 2022年11月 ~ 2023年3月 |
【参考】
「第6回JAPANコンストラクション国際賞」(建設プロジェクト部門)を受賞した「カチプール・メグナ・グムティ 新橋建設及び既存橋改修工事」の基礎工事においても、当社の圧入技術が採用されています※。基礎を日本の独自技術である鋼管矢板井筒基礎構造で構築するにあたり、特に難易度の高い桁下部を圧入技術によって施工しました。
※参考:当社ウェブサイト
(https://www.giken.com/ja/solution/main-overseas-project/kachipurmeghnagumti/)
国土交通省の報道発表資料
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo03_hh_000001_00051.html
■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラーⓇ」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
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GKN23NW010JA