オランダのデン・ハーグ市でも運河護岸改修事業に「ジャイロプレス工法®

アムステルダム市の世界遺産運河の護岸改修プロジェクトが波及

2022.7.11 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)が製造販売する杭圧入引抜機「サイレントパイラー」による鋼管杭回転切削圧入工法「ジャイロプレス工法」が、オランダの「デン・ハーグ市における運河の護岸改修事業」に採用され、実証施工(パイロット施工)の圧入工程を完了しました。同国アムステルダム市にて進行する世界遺産の運河の護岸改修プロジェクトで圧入技術の優位性が注目、評価され、周辺自治体に波及した形です。

「デン・ハーグ市における運河の護岸改修事業」では2040年までに約24km区間を改修する計画となっており、実証施工後の継続的な工法採用および機械販売、レンタルの拡大を目指しています。

欧州ではアムステルダム市の護岸改修プロジェクトでの採用以降、圧入技術の浸透が加速しており、今後も他自治体の運河改修をはじめとした大型案件での採用が期待されます。本案件は、当社グループが中期経営計画で掲げた長期ビジョン「海外売上比率7割」「10年後の売上高1000億円」の実現に向けた確かな一歩です。なお、アムステルダム市における実証施工はコロナ禍の影響などで遅れていましたが、9月からのスタートの予定です。

※ オランダの世界遺産「アムステルダムの環状運河地域」の護岸改修にかかる新技術開発プロジェクト。プロジェクトやその背景、オランダ・アムステルダム市との連携協定については過去のニュースリリース(GKN20NW006JA)(GKN21NW008JA)をご覧ください。

■「デン・ハーグ市における運河の護岸改修事業」の詳細

ⒸOpenStreetMap contributors
【出典】https://www.openstreetmap.org, https://opendatacommons.org

デン・ハーグ市が管轄する約62kmの護岸のうち、約24km区間で改修対策が必要とされています。既存護岸はレンガなどで造られ、木杭による基礎が支えています。ほとんどが100年以上前に構築されて老朽化が進んでいるうえ、路面電車の開通や交通量の増加に伴い護岸に対する負荷が増大しています。

同市は2040年までにこの約24km区間の改修を計画。2018年より2年間で約3.7km区間を他工法で改修しましたが、計画を進めるにあたり、施工時に広大なスペースを必要とし、周辺の交通環境などに影響を及ぼすことが大きな課題となっていました。

■採用理由

【他工法では往来に影響。樹木伐採が必要な現場も】
他工法では、既存護岸を撤去して新たな護岸擁壁を構築するため、鋼矢板で改修箇所を囲い内部の水を抜いたり、大型掘削機を置くため施工スペースを広げたりする大きな仮設工事が必要です。場所によっては船の往来を妨げて地域の経済活動に影響を及ぼすほか、樹木の伐採で景観を損なう懸念がありました。

【「ジャイロプレス工法®」ならば往来も景観も維持】
「ジャイロプレス工法」は、先端に切削爪を付けた鋼管杭を回転圧入することで既存構造物や硬質地盤を貫通し、粘り強いインプラント構造物を構築する工法です。
既存護岸に杭を直接圧入できるため既存護岸の撤去工事が要らないうえ、大型掘削機による事前掘削が不要なことから工費と工期の縮減を実現します。 また、コンパクトな機械による“省スペース施工”“仮設レス施工”が人の往来や物流を妨げず、樹木の伐採を必要としない点も評価されました。

■実証施工内容

「サイレントパイラー F301-G1000」により、直径609.6mmの鋼管杭52本を圧入し、延長44mにわたって既存護岸を強化する擁壁を構築します。

■アムステルダム市の護岸改修プロジェクトの協働メンバーが提案

本案件では、グループ企業の Giken Europe B.V.(本社:オランダ、社長:大平厚/以下、技研ヨーロッパ)とアムステルダム市の護岸改修プロジェクトで協働している現地建設会社のデ・コーニング社、ヴァン・ゲルダ―社が合同企業体として工事を受注しました。プロジェクトの動向に関心を寄せていたデン・ハーグ市に対し、技研ヨーロッパとともに技術提案を行い採用に至りました。
本案件で、技研ヨーロッパからは技術指導員の派遣や圧入機製品のレンタルを行います。

■今後の期待

老朽化した護岸の改修はオランダの多くの都市で課題となっており、本件と同様、施工スペースの制約や景観保護が求められている現場は多数あります。4月に実施した本案件の現場見学会では多くの自治体や建設会社が参加するなど、アムステルダム市の護岸改修プロジェクトを機に圧入技術への関心が高まり、その浸透は確実に進んでいます。両案件によって圧入技術の認知・理解がさらに進むことで、デルタプログラムに基づく大型事業をはじめとした新たな案件への採用や機械販売につなげていきます。

※オランダでの持続可能な洪水リスク管理などを目的とするプログラム。2032年までに堤防補強工事などに年平均約13億ユーロの投資が予定されています。

■事業概要

業務名Bouwteam pilot kademuur Lijnbaan, Den Haag
工事場所Lijnbaan, 2512 VA Den Haag
発注者デン・ハーグ市
元請業者collaboration (combination) of Van Gelder and Gebr. De Koning
施工者Gebr. De Koning
使用機材サイレントパイラー® F301-G1000
杭材型式・寸法鋼管杭52本(直径609.6 mm、長さ9.5 m)
実証施工期間2022年2月~8月予定

■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所 経営戦略部
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
東京本社/東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階
TEL:080-3712-7614 広報担当:吉野

印刷用PDFはこちら
GKN22NW012JA