株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長 CEO:大平厚)は、河川や沿岸部での浸水に耐えられる防水仕様の杭圧入引抜機「サイレントパイラー™」を開発し、現場での初施工を行いました。近年、都市部における河川インフラの維持・改修工事において、ゲリラ豪雨等の水位上昇にどう対応していくかが課題となっていました。従来は、圧入機が水没するおそれがある場合、工事を中断してクレーンで圧入機をつり上げて退避させた後、再び設置し直す必要がありました。今回の開発により、こうした作業の中断を最小限にとどめ工期短縮を図るだけでなく、施工可能な場面も広がり、橋脚や河川護岸などの老朽化対策工事において、より柔軟かつ効率的な対応が可能となります。
頭上に障害物がある現場に対応する低空頭専用機種の「クリアパイラー™」をベースに、油圧機器や電装部品を防水仕様に改良。現段階では水深2m、水圧0.02MPaまで耐えることが可能です 。市場への投入を見据え、グループ企業の株式会社技研施工(本社:高知市、代表取締役社長 CEO:西川昭寛)が名古屋・大江川改修工事で初めて現場施工を行いました。干満差2.3m、満潮時にはサドル※部分が水に浸かってしまうような条件下で、機械を撤去させることなく止水壁を完成させました。
今後は、より制限の厳しい条件での施工を実現するため、圧入機上部の防水化や、腐食を防ぐコーティングなどを含めて耐水性能を向上させ、気候変動に対応した河川整備工事の有効な解決策として技術提案していきます。
※設置済の杭をつかんでいるクランプの取り付け基盤となる部分

■防水仕様の「サイレントパイラー™」の開発
油圧機器はカバーで覆うなど専用の処理を施し、電気機器は防水規格のものに刷新。このほか、各アクチュエータへも個別の浸水対策を施しています。それぞれの防水性能の検証にあたっては、当社施設内に1MPa(水深約100m)まで加圧可能な耐水試験装置を設置。今回の工事想定を上回る圧力まで加圧し、十分な防水性能があることを確認しています。



■大江川改修工事
本工事は大江川埋め立て事業の一環で、鋼矢板による止水壁を構築するものです。技研施工は8月23日より、防水仕様の「サイレントパイラー™」を使用して作業。難所となった名古屋臨海鉄道東築線の高架下において、約1カ月間という短期間で工事を完了させました。
■工事概要
| 工事名 | 大江川改修工事(R6その2) |
|---|---|
| 工事場所 | 愛知県名古屋市港区 |
| 発注者 | 名古屋市緑政土木局 河川部 河川工務課 |
| 元請業者 | 株式会社不動テトラ |
| 使用機材 | クリアパイラー™ CLW100 |
| 杭材型式 | U形鋼矢板Ⅲw型 |
■将来的な開発ビジョン
今回開発された防水仕様の「サイレントパイラー™」は、河川幅が狭く、急激な増水の可能性がある現場で特に力を発揮します。来年には機械がほぼ水中に浸かるような環境下で完全防水仕様の実証施工を予定しており、この検証をクリアすれば、「クリアパイラー™」以外の他機種への展開も進めていく方針です。将来的には、遠隔操作や自動運転機能と組み合わせることで、海底や川底での作業を可能にする「水中パイラー」の実現を目指して、挑戦を続けていきます。

水中パイラーの施工イメージ
■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラーTM」を製造販売し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所 広報担当:安河内
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00)