オランダの世界遺産運河の護岸改修 PJ 商業化フェーズ第一弾の工事契約を締結

圧入施工のゼロエミッション化を実現。環境規制の厳しい欧州での需要狙う

2025.3.26 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長 CEO:大平厚)のグループ企業・Giken Europe B.V.(技研ヨーロッパ)と、オランダの建設会社の Gebr. De Koning B.V.(デ・コーニング社)、Van Gelder B.V.(ヴァン・ゲルダー社)で構成される合弁会社「G-Kracht B.V.(ジークラフト ビー・ブィ)」は 2024年12月、オランダの世界遺産「アムステルダムの環状運河地域」の護岸改修のための新技術開発プロジェクトにおいて、発注者のアムステルダム市と商業化フェーズ第一弾となる工事契約を結びました。

今回は、2032年までに計3.3kmの受注が予定されている商業化フェーズのうち延長144m区間で、5月より圧入施工を開始します。その後もプロジェクトは継続的に発注され、最終的には200kmにもわたる区間での改修が計画されています。

本商業化フェーズの前段となったパイロット施工(延長 208m、2023年7月完工)期間中に、発注者やゼネコンを招き複数回にわたって開催した現場見学会以降、本プロジェクト以外にも都市部での護岸や水路等の老朽化対策工事が計画されるオランダ国内をはじめ、欧州各国からの問い合わせが数倍に増加しています。さらに本現場では、施工機械や圧入システムのエネルギーとなる電気について、発電時に現場で CO2を排出する従来の発電機ではなく、送電網とバッテリーから供給します。電力調達を含め、建設現場の脱炭素化を実現するモデルケースとして関心を集めています。

世界の気候変動対策をリードする欧州において、圧入施工のゼロエミッション化という付加価値を加えた当社技術の優位性を発揮し、工法普及や機械販売の加速、サステナブルな社会の実現を目指してまいります。

※ 過去のニュースリリースもご覧ください。(https://www.giken.com/ja/news/release/gkn24nw012ja/

施工イメージ図

■工事内容

電動の鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラー™ GRV0611e」と「GRB システム™」により、長さ約14m、直径 508mmの鋼管杭を192本圧入。延長144mにわたって、老朽化した護岸の改修を行います。

ⒸOpenStreetMap contributors
【出典】https://www.openstreetmap.org, https://opendatacommons.org

施工前現場

施工断面図
G-Kracht B.V.からの提供データをもとに株式会社技研製作所作成

■世界遺産の景観、周辺環境を守りながら施工

現場は人通りの多い広場に面しており、施工時は高い安全性と周辺環境への配慮が求められます。当社圧入機は、既に地中に押し込まれた既設杭をしっかりとつかむという機械の原理上、転倒の恐れがありません。また、既存護岸を撤去せず貫通して施工できる鋼管杭回転切削圧入工法「ジャイロプレス工法™」、機械装置を既設杭上で稼働させ作業用仮設工事を不要とする「仮設レス施工」、通行人や構造物に影響を与えない「無振動・無騒音施工」により、地元住民が大切にする並木の下でも樹木を伐採することなく、カーボンニュートラルに貢献しながら施工します。

■電力調達も含め、圧入施工のゼロエミッション化を実現

施工機械や圧入システム、それらの動力源であるパワーユニットまでフル電動化を実現。本パワーユニット(MU720)は、ディーゼルエンジンではなく、電動モーターで油圧ポンプを駆動して機械の油圧動力を得ます。本現場では発電機を使わずに送電網とバッテリーから電力を供給するため、電力調達も含め圧入施工時の CO2排出量をゼロにできます。欧州で環境規制が強化される中、欧州の圧入市場を活性化させるフックとなることを期待しています。

■商業化フェーズスケジュール

本フェーズでは、2032年までの間で計3.3 km区間の改修工事が予定されており、プロジェクトで開発した革新技術を用いる工事について、開発を担ったグループが受注できます。圧入技術の優位性を発揮し、パイロット施工を成功させた G-Kracht B.V.には、2028年までの間で計1.3km 区間の工事受注が保証されています。その後、工事成績に応じて契約が更新され、2028年から 2032年までの4年間で計2km分が追加されます。

パイロット施工前 ➡ パイロット施工後

■プロジェクトスケジュール

「ジャイロプレス工法™」と「GRB システム™」は、商業化フェーズを経て、本プロジェクトにおける標準工法の一つとして採択予定です。他工法と比べ圧倒的優位性を有することから、今後他社での利用増加が予想されます。他社やその現場を通して当社技術が広まることで、工法普及の加速に加え、当社の圧入機やシステム機器などの販売やレンタルの拡大が期待できます。本プロジェクトでは200kmにもわたる区間で改修が必要とされており、長きに及んで継続的な収益確保が見込めます。

■協定、工事概要

協定名AI2018-0423 Innovatiepartnerschap Kademuren G-kracht B.V.
(アムステルダム市運河護岸イノベーションパートナーシップ(AI 2018-0423))
協定者オランダ・アムステルダム市と G-Kracht B.V.

・Giken Europe B.V.(技研ヨーロッパ)
・Gebr. De Koning B.V.(デ・コーニング社)
・Van Gelder B.V.(ヴァン・ゲルダー社)
工事名AI2018-0423-KBW-0102 & KBW-0103 Innovatiepartnerschap Kademuren
(AI 2018-0423-KBW-0102 & KBW-0103 アムステルダム市運河護岸イノベーションパートナーシップ)
工事場所Kloveniersburgwal 23A, 1011 JV Amsterdam
元請業者G-Kracht B.V.
施工者G-Kracht B.V.
使用機材ジャイロパイラー™ GRV0611e、クランプクレーン™ CB2-11
杭材型式・寸法鋼管杭 192 本(直径 508 ㎜、長さ 14.34~14.94m)
圧入工工期2025年5月 ~ 7月予定

■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー™」を製造販売し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所 広報担当:林
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00)

印刷用PDFはこちら
GKN25NW005JA