鋼管杭の水中打止め施工を効率化する技術が四国地方発明表彰で発明奨励賞を受賞

杭の切断作業を不要にする「リアクションベース」。脱炭素化に寄与

2022.10.25 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)が開発した、鋼管杭の水中での打止め施工を効率化させる専用アタッチメント「リアクションベース」と、これを用いた圧入方法(特許第4728787号)が、(公社)発明協会が主催する「令和4年度四国地方発明表彰」において「発明奨励賞」を受賞しました。

鋼管杭と同じ形状をした着脱可能なリアクションベースは杭頭に取り付けることで杭長を延長し、施工完了後は容易に取り外すことが可能です。これにより水面下に位置する杭の圧入ができるようになりました。これまで水中打止め施工時に必要だった水面下での杭の切断・撤去という工程を不要としたことで、工期・工費を大幅に縮減します。また、施工時のCO2排出および資材の削減を通じてカーボンニュートラルにも大きく貢献します。

鋼管杭の水中打止め施工においても“省スペース”“仮設レス”施工を実現し、従来工法の無駄を省く本技術は、河川護岸や港湾岸壁の補強、洗掘対策、橋脚の耐震化などでニーズがあり、今後も採用拡大が期待できます。工事の合理化、また持続可能な社会の発展に貢献する本技術は、「インプラント工法」の普及をさらに後押ししていきます。

※ 設置する杭の計画レベル(工事計画に基づき決定された杭上端の高さ)が水中となる施工

「リアクションベース」を用いた河川改修工事

■鋼管杭の水中打止め施工を効率化

【従来は杭の切断作業が必要】
コンパクトな圧入機本体が、打ち込んだ杭の上を自走しながら、杭上から地盤に杭を打ち込める圧入技術ですが、水上施工においては機械が水没しないよう、水面より高い位置で施工を進める必要があります。航路や潮流への影響を回避するため行う水中打止め施工の場合、圧入完了後に計画レベルで杭を切断・撤去しなければなりませんでした。余分な工期と工費が生じるうえ、切断後の部材は廃棄されていました。

【「リアクションベース」で施工を効率化】
そこで、杭の上部に取り付ける専用アタッチメント「リアクションベース」を開発。圧入完了後の杭の切断・撤去作業が要らないうえ、着脱可能で繰り返し使用できます。工期・工費の大幅な縮減に加え、施工時のCO2排出および資材の削減により脱炭素化にも寄与します。

1. 鋼管杭を建込み、圧入。後方の施工済み鋼管杭からリアクションベースを吊上げる。
2. 圧入機へ建込み、鋼管杭の上部に取り付ける。
3. リアクションベースを打下げ、鋼管杭を所定位置まで圧入。

■採用事例

当技術は、2005年11月に福岡県大牟田市の護岸補強工事で初めて採用されました。2018年9月には愛知県名古屋市の広域河川改修工事に採用。両案件とも仮設レスでスピーディかつ経済的に、精度高く完工しました。

福岡県大牟田市での護岸補強工事

愛知県名古屋市での河川改修工事

■地方発明表彰

各地方における発明の奨励、育成を図り、科学技術の向上と地域産業の振興に寄与することを目的として1921 年に始まりました。全国を8地方(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)に分け、各地方において優秀な発明、考案、意匠を完成させた発明者等を顕彰するものです。学識経験者および主催者で構成する地方発明表彰選考委員会が審査します。

当社の技術が本表彰で受賞するのは20回目。近年では2011 年に機械式駐輪場「エコサイクル」が「発明協会会長奨励賞」、2012年に鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラー」が「文部科学大臣発明奨励賞」、2020年に飛び杭圧入工法「スキップロック工法」が「四国経済産業局長賞」を受賞しています。

 


■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
東京本社/東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階
TEL:080-3712-7614 広報担当:吉野

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