宇宙開発での圧入技術の可能性を調査 – 「月面等での建設活動プロジェクト」に採択

重力に依存しない施工原理、自動運転技術などを活用

2021.11.18 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)の技術研究開発提案が、国土交通省の「月面等での建設活動に資する無人建設革新技術開発推進プロジェクト」の公募において、国内トップレベルの企業や大学による応募の中から採択されました。今年度、国土交通省と契約を行い、月面での建設活動を視野に、重力に依存しない圧入技術の宇宙空間における可能性について調査します。

当社の杭圧入引抜機「サイレントパイラー」やシステム機器は他の杭打ち機と原理が異なり、機械重量で機体を安定させる必要がありません。圧入原理ならば無重力空間でも施工が可能です。また宇宙に輸送できる人員、機材とも限られる中、杭施工の無人化(自動化・遠隔化)や機械の軽量・コンパクト化が可能な当社の技術は、月面等での建設計画において極めて実用性が高いと考えています。

当社は「インプラント工法で世界の建設を変える」という方針のもと、圧入技術のさまざまな優位性を背景に、世界の建設課題を解決し続けています。創業地の高知から世界へ、そして宇宙へ。本調査により、宇宙空間へとフィールドを広げて圧入技術の可能性を検証し、世界中で稼働している「サイレントパイラー」が月や惑星で活躍する未来を目指します。

※ 出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo15_hh_000302.html

インプラント工法による月面での建設イメージ図。2017 年に創業 50 周年広告として作成しました。

■宇宙でも生きる「圧入技術」

【月面等宇宙空間での建設課題】
月面で拠点等を建設する際、地球上の技術をそのまま使用することは困難です。例えば、月面の重力は地球の1/6しかありません。杭を貫入する際、機体を上に持ち上げる反作用力が働きますが、機械重量で機体を安定させる杭打ち機を使う場合、地球の6倍の大型機械が必要となり現実的ではありません。

【圧入技術による杭施工の可能性】
▶月面等でもコンパクトな機械で施工可能
圧入機は既設杭を数本つかみ、その引き抜かれまいとする抵抗力(反力)を利用して機体を固定します。機械重量に依存しないため、重力が小さい月面であってもコンパクトな機械で施工が可能です。

▶「地下の可視化」により機械資材の削減、建設活動の加速に貢献
当社の開発した「PPT システム(Press-in Piling Total System)※」を用いれば、圧入中に取得できる各種データに基づいて地盤情報の推定や自動運転が可能です。そのため、ボーリング等事前の地盤調査の数量を削減可能で、輸送する機械資材の削減と工期の短縮を実現できます。「地下の可視化」と取得した地盤データの共有により、月面等における建設活動の加速化に貢献します。

※サイレントパイラーは杭挙動を油圧制御するため、杭に静荷重を加えて地中に押し込む過程で、施工中の圧入力、引抜力、杭の貫入深さ、施工時間などのデータを自動取得できます。PPT システムは、取得データから地盤情報と施工状態を推定し、圧入条件をリアルタイムに最適化。地盤変化に対応しながら高い精度で自動圧入します。

■国土交通省の「月面等での建設活動に資する無人建設革新技術開発推進プロジェクト」

このプロジェクトは、内閣府宇宙開発戦略推進事務局による「宇宙開発利用加速化戦略プログラム」(スターダストプログラム)の一環として、国土交通省が文部科学省と連携して、将来的に月面等での建設活動に発展し得ることを視野に、産学官の連携により建設基盤技術の確立を目指すものです。 2021年7月から開始され、技術研究開発の提案が公募されました。選定企業等は技術研究開発の委託を受け、関係者で意見交換を行いながら諸課題の解決を推進します。

今回は当社を含めて国内企業や大学による10の提案が採択されました。当社は 2022年3月までに「重力に依存しない杭圧入技術/インプラント工法の宇宙空間での適用可能性に係る調査」を行っていきます。

■当社取り組みの概要

① 重力の小さい空間における圧入技術の適用範囲
重力に依存しない圧入技術は宇宙空間において、杭施工以外にも多様な用途で必要とされる可能性を秘めています。例えば地下資源の採掘や様々なものを固定するアンカーの施工などにも、圧入機の施工原理の活用が期待できます。重力の小さい空間において圧入技術の適用できる範囲を提言します。

② 月面等で利用可能な機械開発の課題整理
月面等に多くの人員を送ることは難しく、原則として無人での施工が想定されます。一部で自動化が進む当社の圧入技術ですが、完全無人化には至っていません。また宇宙では化石燃料の調達が難しく、太陽光等で発電して機械を動かす必要があります。月面等の建設活動で想定されるこれらの問題を含め、地球上と異なる環境下で利用できる機械の開発に向け、技術的な課題を抽出し、整理します。

③ 圧入施工データを用いた設計・施工技術の適用可能性
PPT システムを活用すれば、事前の地盤調査数量を削減して設計・施工を行うことができます。この技術について、月面等での活用に際して付加的に生じる検討項目を洗い出します。

■今後の展望

国土交通省と契約を結び、10 月より調査を開始しています。月面等における圧入技術の可能性調査や選定企業、大学等との意見交換は圧入技術の深化、ひいては地球上での建設技術の革新にもつながります。検証結果を地上にも還元し、「工法革命」をさらに発展させていきます。


■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は世界の建設課題を解決しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所 経営戦略部
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
東京本社/東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階
TEL:080-3712-7614 広報担当:吉野

印刷用PDFはこちら
GKN21NW016JA