米ミネソタ州の鉄道事業に圧入工法

米国鉄道案件の市場開拓に期待

2021.1.25 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)が製造販売する杭圧入引抜機「サイレントパイラー」による圧入工法が、米国ミネソタ州の最大都市・ミネアポリスを通る鉄道「グリーンライン」の延伸事業※1で採用され、工事を完了しました。現場は既設鉄道線が近接する市街地に位置していることから、本案件では圧入機による無振動、無騒音施工が不可欠でした。原理上転倒の恐れがないという特長と合わせ、圧入技術の優位性がいかんなく発揮されました。

本件では、グループ会社の技研アメリカ(本社:米ニューヨーク、社長:アンソニー・バートラムス)が設計計画段階から発注者と設計会社に圧入工法の技術提案を行い、採用を実現しました。今回の施工実績ができることで米国内の鉄道案件における市場開拓が大きく期待できます。

※1 既設区間は米ミネソタ州のミネアポリスと州都・セントポールを結ぶ18km。延伸は人口増加に伴う事業で、区間はミネアポリスから同州エデンプレーリーまでの23.3km。全体工期は2018~2022年。グリーンラインの2014年の一日平均利用者数は19000人。2040年には34000人の利用者を見込んでいます。

■工事内容
現場は既設の鉄道線路に隣接した全長859mの地下トンネル部。土留め壁※2工事に圧入工法が採用されました。工事ではサイレントパイラー F401-1400の2台同時施工により、長さ7.6~19.8mのZ形鋼矢板2500枚(施工延長は両側面で計約1.7㎞)を圧入しました。

※2 地盤を掘削する際に、周囲から土砂が崩れてくるのを防ぐために設ける壁のこと。

施工中の様子

標準計画断面図

■採用理由
現場の周辺には閑静な高級住宅街が広がり、近接地には既設鉄道線が通っています。振動式杭打ち機などによる従来工法では、大きな振動や騒音が住民生活に支障をきたしてしまいます。また、安全面から鉄道運行への影響が懸念されました。サイレントパイラーは無振動、無騒音施工ができるうえ、既に地中に押し込まれた杭をしっかりとつかんで施工することから原理上転倒のおそれがありません。そのため住宅街の中や既設線路の近接地でも問題なく施工できます。同様の現場における国内外での豊富な施工実績が評価されました。
玉石混じりの硬質地盤の当現場は、圧入機と連動する「パイルオーガ」により杭先端の直下地盤を掘削し、パイルオーガを引き抜きながら隙間を埋めるように杭を圧入する「芯抜き理論」を駆使した「硬質地盤クリア工法」で施工しました。硬質地盤に長尺の鋼矢板を高精度で打ち込める特長も決め手となりました。

■今後の展開
米国では今後、他地域でも同様の案件が計画される可能性があります。今回の圧入工法の採用で同国内の鉄道案件での提案力強化が期待できます。これを追い風に新たな市場開拓につなげていきます。

工事概要

工事名SOUTHWEST LIGHT RAIL TRANSIT PROJECT
(METRO Green Line Extension)
工事場所米国ミネソタ州ミネアポリス市
発注者Metropolitan Council-SWLRT (Southwest Light Rail Transit)
元請業者Lunda/C.S.McCrossan JV
施工者同上
使用機材サイレントパイラー F401-1400(硬質地盤圧入仕様)2台
杭材型式・寸法ダブルZ形鋼矢板(NZ19、NZ26、NZ38、NZ38-CP)長さ7.6m~19.8m、
1250 ペア(2500枚)
圧入工工期2019年9月下旬 ~ 2021年1月

【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社 技研製作所 広報担当(林)
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8001700

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GKN21NW001JA