GIKEN圧入技術マガジンvol.12

2023.1.27 メールマガジン

 <好条件化機器・事例紹介> 

“杭の切断不要!”
リアクションベースによる脱炭素化工法
~水中打止め施工を実現~


今回のテーマは、杭材を水中打止めすることができる専用アタッチメント「リアクションベース」の実例紹介です。

■リアクションベースとは

杭を地中または水中に打ち込むために用いるヤットコと同様な機能を持ったアタッチメントのことです。取り外し可能なリアクションベースを杭頭に取り付けて杭長を延長することで、水中での打止め施工が可能となりました。これまで必要だった水面下での杭の切断・撤去という工程を不要としたことで、工期・工費を大幅に縮減することができます。また、施工時のCO2排出および資材の削減を通じてカーボンニュートラルにも大きく貢献します。
リアクションベースを使用する場合でも従来の軽量・コンパクトな特長を活かし、河川や港湾及び市街地での工事などにおいて、航路、現況交通を阻害することなく施工が可能となります。

※設置する杭の計画レベル(工事計画に基づき決定された杭上端の高さ)が水中となる施工

「リアクションベース」を用いた河川改修工事

■鋼管杭の水中打止め施工を実現

【従来は杭の切断作業が必要】
コンパクトな圧入機本体が、打ち込んだ杭の上を自走しながら、杭上から地盤に杭を打ち込める圧入技術ですが、水上施工においては機械が水没しないよう、水面より高い位置で施工を進める必要があります。航路や潮流への影響を回避するため行う水中打止め施工の場合、圧入完了後に計画レベルで杭を切断・撤去しなければなりませんでした。余分な工期と工費が生じるうえ、切断後の部材は廃棄されていました。

【工期・工費の大幅な縮減と資材の削減に寄与】
そこで、杭の上部に取り付ける専用アタッチメント「リアクションベース」を開発。圧入完了後の杭の切断・撤去作業が要らないうえ、着脱可能で繰り返し使用できます。工期・工費の大幅な縮減に加え、施工時のCO2排出および資材の削減により脱炭素化にも寄与します。

■施工手順

1. 鋼管杭を建込み、圧入。後方の施工済み鋼管杭からリアクションベースを吊上げる。
2. 圧入機へ建込み、鋼管杭の上部に取り付ける。
3. リアクションベースを打下げ、鋼管杭を所定位置まで圧入。

■採用事例

事例①:福岡県大牟田市での港湾護岸補強工事

 

事例②:愛知県名古屋市での河川改修工事

■発明奨励賞を受賞

2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、土木インフラ分野についても建設機械の電動化や道路照明の省エネ化等が進められています。今回紹介した「リアクションベース」は工期・工費の大幅な縮減に加え、施工時のCO2排出及び資材の削減を通じてカーボンニュートラルにも大きく貢献します。本年度には(公社)発明協会が主催する「令和4年度四国地方発明表彰」において「リアクションベース」とこれを用いた圧入方法(特許第4728787号)が「発明奨励賞」を受賞しました。
杭材の水中打止め施工において、従来工法の無駄を省く本技術は、河川護岸や港湾の補強、洗掘対策、橋脚の耐震化等の分野でより一層ニーズが増えることが期待されます。