オランダ中部の南ホラント州で、「インプラント工法™」による鋼管杭とZ形鋼矢板の複合壁体で既存の河川堤防を補強する欧州初の工事「KIJK project(カイクプロジェクト)」が本格始動しました。株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長 CEO:大平厚)のグループ企業・技研ヨーロッパ(Giken Europe B.V./本社:オランダ、社長:山本卓也)の継続的な技術支援の下、現地企業のVolker Staal en Funderingen(VSF社)とGebr. De Koning B.V. (デ・コーニング社)による今後5年間に及ぶ工事が順調に進んでいます。
技研ヨーロッパは、本工事向けに「サイレントパイラー™」2台を販売しており、継続して「ジャイロパイラー™」のレンタル、鋼管杭の先端に取り付ける切削爪(リングビット)の販売、長期間の工事に伴う機械の保守メンテナンスを担います。
今回採用された複合壁体は、剛性の高い鋼管杭と止水性に優れたZ形鋼矢板を組み合わせることで、機能的かつ経済的に洪水リスクを軽減することが可能です。加えて省スペース施工が可能な「GRBシステム™」により、堤防上の道路交通を保ったまま安全に工事が進められています。現地を訪れた行政関係者からは、「地域の安全確保につながる革新的で重要な取り組み」と高評価もいただきました。
本工事は、オランダ政府が喫緊の課題とする大規模治水対策事業「デルタプログラム※」の一環として、国内および欧州各国からも注目を集めています。5年間続く本工事を気候変動に対する課題解決の新たなソリューションとして欧州全体にも波及させ、より安心安全で、持続可能な社会を築いていきます。
※ 過去のニュースリリースもご覧ください。( https://www.giken.com/ja/news/release/gkn25nw016ja/ )

ホランセ・アイセル川
オランダは国土の大半が海面より低く、内陸部に位置する南ホラント州も例外ではありません。特に今回の工事が行われているホランセ・アイセル川は大洪水が発生した場合の“内陸への最後の侵入口”と重要視されています。本プロジェクトが進行中の区間には住宅地が広がっており、20万人以上の命と生活を洪水被害から守ることが求められています。

ⒸOpenStreetMap contributors
【出典】https://www.openstreetmap.org, https://opendatacommons.org

工事内容
本工事は5年間かけ、総延長約10㎞にわたり鋼管杭約2500本、Z形鋼矢板4500ペアを設置するものです。第一工区は2025年9月に着工し、「サイレントパイラー™」が鋼矢板を圧入した後、後続の「ジャイロパイラー™」が鋼管杭をスキップロック(飛び杭)にて施工しています。堤防沿いの道路交通や船舶の航行を阻害しないよう仮設構台は設置せず、工事スペースを最小限に留めています。
また、本工区はEU全域の生物多様性を守るために設けられたヨーロッパ最大規模の自然保護区「ナチュラ2000」の指定エリアであり、窒素排出量が厳しく制限されています。このため、「サイレントパイラー™」の動力にはディーゼルではなく、電動パワーユニット「MU200」を使用。「ジャイロパイラー™」に関しても、施工業者のVSF社と共同でNoNOx(窒素排出抑止)フィルターを開発しました。


VSF社からの提供データをもとに株式会社技研製作所作成
施工中の様子(動画)
関係者が工事の様子を見学
昨年11月3日に現地で開催されたプロジェクトのスタートを祝う式典には、自治体や建設関係者、地元住民ら100人以上が参加し、担当者がプロジェクトの内容を詳しく説明しました。参加者はフェリーに乗船して水上から工事の様子を見学し、工事の方法や進捗具合について活発な質問を行うなど高い関心を寄せていました。


今後の展望
「デルタプログラム」では、2050年までにオランダ全土で約1400㎞の堤防と400の水門・ポンプ場の改修強化が計画されています。こうした治水対策はオランダのみならず、ライン川・ドナウ川が通るドイツ、アントワープ港を中心とした運河網を持つベルギーなど欧州各国で進められています。2022年から進められている世界遺産「アムステルダムの環状運河地域」の護岸改修プロジェクト、今回の「カイクプロジェクト」の実績を基に、世界でオンリーワンである圧入技術への理解と信頼度をさらに高めていきます。
工事概要
| 工事名 | KIJK(Dijkversterking Krachtige IJsseldijken Krimpenerwaard ) (カイクプロジェクト) |
|---|---|
| 工事場所 | Krimpenerwaard between Krimpen aan den IJssel and Gouderak |
| 発注者 | Hoogheemraadschap van Schieland en de Krimpenerwaard (シーラント・クリンプネルヴァール水委員会) |
| 元請業者 | KIGO(Van Hattum en Blankevoort and Boskalis Nederland) (ファン ハットゥン エン ブランクフォート社とボスカリス ネダランド社のJV) |
| 下請業者 | Volker Staal en Funderingen(VSF社) Gebr. De Koning B.V. (デ・コーニング社) |
| 使用機材 | 【鋼管杭施工】 ジャイロパイラー™ F401-G1200、スキップロックアタッチメント クランプクレーン™ CB4-2 【鋼矢板施工】 サイレントパイラー™ F401-1400、クランプクレーン™ CB3-6 |
| 杭材型式・寸法 | 鋼管杭約2500本(直径1016㎜、長さ14~27 m) Z形鋼矢板約4500ペア(1400㎜幅(AZ24-700の2枚1セット)、長さ10 m) |
| 圧入工工期 | 2025年9月~ |
■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー™」を製造販売し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40 以上の国と地域に広がっています。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所 広報担当:安河内
高知本社/高知県高知市布師田3948 番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00)
印刷用PDFはこちら
GKN26NW005JA