圧入技術による月面での建設が一歩前進! 国交省および文科省「宇宙建設革新プロジェクト」技術研究開発(R&D)契約の継続が決定

2025.4.23 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長 CEO:大平厚)は、政府「宇宙開発利用加速化戦略プログラム(スターダストプログラム)」の一事業である「宇宙無人建設革新技術開発推進事業(国土交通省および文部科学省連携。略称、『宇宙建設革新プロジェクト』)」において、2025年度も「技術研究開発(R&D)」を継続することが決定しました。当社は2022年度から3年連続で継続審査をクリアし、4年目に突入します。今年度は、構想の具体化に向け、技術の開発や実証などの取り組みを加速化させていきます。

当社が製造販売する油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー™」や、回転切削圧入機「ジャイロパイラー™」は、地盤に打ち込んだ杭をつかみ、その引き抜かれまいとする抵抗力(反力)を利用して次の杭を打つことができるため、原理上、無重力空間でも施工可能。また、硬質地盤を含む多様な地盤条件にも対応し、さらに、圧入施工時に得られるデータから地盤情報を推定して施工を自動的に最適化する技術や、施工完了後の杭の支持力を測定する簡易載荷試験を圧入機で行える技術も有しています。これらにより、地盤に関する事前情報がないに等しい月面での建設において、合理的な建設プロセスを提供できると考えられます。

2025年度はこの建設プロセスに関して、月の模擬砂を用いた模型実験や数値解析等により、月面における当社技術の適用性の確度を高めつつ、ケーススタディーによる検証を本格化させます。

※ 参考:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001203.html

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審査委員による模型実験装置の視察の様子(2025年1月)

■技術研究開発(R&D)フェーズでの取り組み

本フェーズでのテーマは、「回転切削圧入の施工データを利用した、月面建設の合理的な設計施工プロセスの提案と評価」です。

一般に、地上での建設プロジェクトは「地盤調査」「設計」「施工」の順に進める必要があります。当社の「PPTシステム™」を用いれば、調査情報が限られていても、施工データから推測した地盤情報を利用して情報を補完したり、設計の妥当性を検討したりすることが可能。また、施工が完了した杭の支持力を測定するための載荷試験を、圧入機を用いて簡易的に行うこともできます。月面のように調査情報が非常に少ない場合、一旦ラフに設計した後、調査を兼ねた施工をしながら詳細設計を行うというプロセスにすることで、効率的に構造物の性能を確保できると考えられます。物資の輸送量や工程の実施数が制限される宇宙空間において、資機材の削減、工期の短縮にも貢献できます。

※圧入施工中に取得できる各種データに基づいて地盤情報の推定や自動運転を行うシステム

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本フェーズを通して、当社技術を活用した建設プロセス(下図)の実施可能性や妥当性の検証に取り組んでいきます。

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■今後について

2024年度までに、水がほとんど存在しない月面想定地盤(密な砂地盤)での実大実験や、月の模擬砂(FJS-1g)での模型実験などを実施しました。これにより、回転切削圧入による杭の施工が可能であることや、その施工データから地盤情報などが適切に推定され得ることなどを確認。また、当社技術によって建設する構造物の性能や安全性を数値で確認する設計計算法を整理しました。

2025年度は、引き続き月の模擬砂を用いた模型実験を行い、回転切削圧入の施工性や、施工データからの推定情報の妥当性をさらに高めます。加えて、施工データからの推定情報と設計計算法とを組合わせることにより、合理的な建設プロセスの具体例を検討します。

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宇宙建設革新プロジェクト(イメージ)
※提供:国土交通省


■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー™」を製造販売し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所 広報担当:林
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00)

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