北米に低空頭対応鋼管矢板圧入機 「クリアパイラー™ CLP200A」を初納入

洪水対策PJに採用。桁下3mでの圧入施工を実現

2024.10.7 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長 CEO:大平厚)のグループ企業・技研アメリカ(Giken America Corporation/本社:フロリダ州オーランド、社長:詫摩武史)は、低空頭対応の鋼管矢板圧入機「クリアパイラー™ CLP200A」を米国の基礎施工会社「Blue Iron Foundations & Shoring, LLC(ブルーアイアン社)」に納入しました。同社は北米最大の当社圧入機保有ユーザーであり、その広域営業網を生かし、各地で技研アメリカと協力しながら工法普及を行ってきた強力なパートナーです。北米のユーザーに「クリアパイラー™」を納入したのは、今回が初めてとなります。

低空頭かつ無振動・無騒音での施工を叶える納入機の需要は北米でも高く、すでにルイジアナ州の洪水対策プロジェクトに採用され、桁下3mで鋼管矢板による止水壁の構築を進めており、今後も多くの老朽インフラ改修プロジェクトでの採用が期待されています。工法技術提案の採否にあたっては、当地での実機の有無が大きな決定要素となります。当機の納入で、杭材や構造などについて提案できる施工方法の幅が広がったため、これまでよりも多くの案件形成が可能になりました。

当社グループは現在、北米における圧入市場拡大戦略を再構築するための市場調査と施策検討を鋭意進めています。今後も同社をはじめとしたユーザーと協働し、北米市場の大幅拡大に向け、効果的なアクションを実施してまいります。

■北米における「クリアパイラー™ CLP200A」の可能性

【空頭制限など現場の制約条件が課題に】

先進国を中心に世界中でインフラの老朽化が社会課題となる中、北米にも、上空に障害物がある空頭制限や、狭隘地といった制約条件により手つかずとなっている案件が存在します。北米では、空頭制限下の杭施工でも振動式の大型機械を用いることが一般的ですが、振動は老朽化した構造物のさらなる破損を誘発したり、周辺住民に悪影響を及ぼしたりする恐れがあります。また橋梁下の現場の場合、橋桁の撤去や迂回道路の設置、大型機械や資材を置く仮設桟橋の構築が必要になります。

【「クリアパイラー™ CLP200A」ならば課題をクリア】

「クリアパイラー™ CLP200A」は、無振動・無騒音の低空頭対応圧入機です。上部クリアランス2.65mでも鋼管矢板を圧入することができます。加えて、吊込装置が一体となったコンパクトな機械が既設杭の上を自走しながら施工することから、仮設工事が不要。空頭制限下であっても、住民生活や交通を妨げることなく安全かつスピーディーに施工できる本機は、北米における多くの橋台や橋脚基礎の補強、橋梁下の河川護岸の改修といった現場への画期的なソリューションとなります。

■ルイジアナ州の洪水対策プロジェクトに採用

【工事概要】

ルイジアナ州南東部に位置するニューオリンズ市郊外では、202212月から2027年の約5年間で、洪水対策のための堤防や排水ポンプ場を整備する「WLSPプロジェクト」が進んでいます。本件はその一環として、約1.6㎞にわたり高さ3.3mの堤防を整備する「WSLP-106プロジェクト」において、鋼管矢板による止水壁を構築するものです。

現場は、ミシシッピ川下流域の広い湿地帯を横断する高速道路の橋梁桁下で、上部クリアランスはわずか3mです。低空頭区間で振動式の工法を使用することは、既存の高架橋基礎に悪影響を及ぼすため、禁止されていました。そこで、振動を抑えながら施工できる低空頭対応圧入機「クリアパイラー™ CLP200A」により、直径914㎜の鋼管矢板204本を圧入します。

【今後の期待】

施工者のブルーアイアン社や元請業者からは、低空頭でも極めて効率的に杭の打設ができる当機の完成度の高さが評価されました。今回の機械納入、施工実績を足がかりに、空頭制限のあるプロジェクトへの工法技術提案活動を活発化させ、同社とも協力しながら他案件への波及につなげていきます。

■事業概要

工事名WEST SHORE LAKE PONTCHARTRAIN, LA
HURRICANE & STORM DAMAGE RISK REDUCTION PROJECT WSLP-106 LEVEES AND I-10 WEST T-WALL CROSSING ST. JOHN THE BAPTIST PARISH
工事場所St. John the Baptist Parish, Louisiana, USA
発注者US Army Corps of Engineers, New Orleans District
元請業者Dynamic Group, LLC
施工業者Blue Iron Foundations & Shoring, LLC
使用機材クリアパイラー™ CLP200A
杭材型式・寸法・橋梁桁下:鋼管矢板52本(直径914㎜、長さ16.8~17.4m、PT継手、5箇所継)
・橋梁桁外:鋼管矢板152本(直径914㎜、長さ16.8~17.4m、PT継手)
圧入工工期2024年5月~2025年2月予定

■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー™」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林

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