バッテリー式電動パワーユニットを開発 現場での実証施工で高評価

ゼロエミッション圧入施工の適用現場を大幅拡大

2024.2.6 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長 CEO:大平 厚)は、圧入施工時のCO2排出ゼロを可能とするバッテリー式の電動パワーユニットを開発し、実証施工を完了しました。本機は、当社が製造販売する油圧式杭圧入引抜機の動力源で、「サイレントパイラーF101」「スマートパイラー SX1」で使用可能です。外部給電式と異なり、給電ケーブルを接続し続ける必要がなく、移動範囲の制約を受けません。現場導入が容易となり、CO2を排出しないゼロエミッション圧入施工の現場を大幅に拡大できます。202312月に行った実証施工では、工事関係者から現場での施工性などについて高い評価を得ました。今後は量産に向けた改善点の抽出、開発へのフィードバックを迅速に進め、一刻も早い市場投入を目指していきます。

当社はカーボンニュートラル達成に向け、2050年のディーゼルエンジン式パワーユニットの出荷ゼロを掲げており、すでに電動の「ジャイロパイラー」に対応した外部給電式の電動パワーユニットを開発し、オランダの世界遺産運河の護岸改修プロジェクトに導入しています。さらに、当社主力製品8機種に対応する外部給電式の電動パワーユニット「MU200」は、2024年よりEU市場に投入する予定です。建設現場の脱炭素化、建設機械の電動化が世界的に急がれる中、利便性を高めるバッテリー式の導入は、圧入市場やゼロエミッション圧入施工をグローバルに拡大させるものと期待できます。

■新型電動パワーユニットの主な特徴

【電動モーターを採用し、CO排出ゼロを可能に】
ディーゼルエンジンではなく、電動モーターで油圧ポンプを駆動して機械の油圧動力を得ます。ディーゼルエンジン式の従来機(EU200L4)で圧入施工する場合、満タン(軽油350L)から使いきるまでに約903㎏のCO2が排出されますが、本機からは一切排出されません。

【バッテリー式で利便性がアップ】
バッテリー式のため、大掛かりな充電設備の設置が必要なく、常に有線で給電することによる機械の移動範囲の制限もありません。「バッテリーモード」と「アシストモード」を搭載しており、現場の条件によって選択できます。

➤バッテリーモード
バッテリーのみで運転します。
作業のない夜間に充電することで、日中(約6時間)作業できます。

※作業条件や稼働状況により異なります。

➤アシストモード
バッテリーと、発電機もしくは商用電源を併用して運転します。
外部から給電し続けるため、長時間継続して作業が可能。バッテリーのアシストにより、発電機もしくは商用電源の電力が抑えられ、発電機やトランスの小型化を叶えます。設置工事が容易になり、設備費も削減できます。

【圧入機の応答性がアップ】
ディーゼルエンジン式は軽油を燃焼させて出力を得るため、最大出力を出すまでに時間を要します。一方、電動パワーユニットは瞬時に最大出力を発揮できるため、圧入機の動作レスポンスも上がります。「サイレントパイラーF101」「スマートパイラー SX1」に接続した場合、打ち抜き動作や掴み替えなど基本動作への応答性が向上。施工速度が上がり、工期の短縮が叶います。

【省エネ性能が大幅アップ】
当社実証試験のデータでは、ディーゼルエンジン式の従来機(EU200L4)を接続して圧入した場合の軽油消費量と比べ、本機を接続して圧入した場合のバッテリー消費量を充電するのに必要な発電機(125kVA)の軽油消費量は3分の1程度に低減しました。燃料費は電気が軽油より安い傾向にあり、発電機ではなく商用電源での充電が可能な場合は、ランニングコストをさらに削減できます。

■実証施工の結果概要

2023年12月、大阪市・梅田近郊の現場にて、当社グループ企業の株式会社技研施工(本社:高知市、代表取締役社長 CEO:西川昭寛)が「スマートパイラー SX1」で圧入施工を実施しました。13日間で鋼矢板320枚を圧入し、再開発に伴う地下道撤去時に必要な土留め壁を構築。バッテリーへの充電・給電には、カーボンニュートラルに寄与するバイオ燃料使用の発電機「Shindaiwa DGM600MK-P」(株式会社やまびこ製)を採用しました。
バッテリーモード、アシストモードそれぞれでの実証を行い、想定通りの結果が得られました。工事関係者からは「導入が容易で、実用的」「機械動作も早い」など高く評価されました。

※参考:株式会社やまびこウェブサイト
https://www.yamabiko-corp.co.jp/shindaiwa/products/category/detail/id=12829

■今後の展望

国ごとに異なる環境規制や現場条件により、用いられる製品の種類、求められるスペックは異なります。当社は、規制や条件に応じた最適な脱炭素技術を提供し、顧客の選択肢を広げることが、圧入業界の成長、カーボンニュートラル実現の加速につながると考えています。今後、本機の製品化・量産化を早期に進め、電動化の割合を高めていきます。また、バイオ燃料や合成燃料、水素などさまざまなエネルギー源に対応したパワーユニットも開発し、カーボンニュートラル達成に貢献していきます。

■基本性能

定格出力160kW(217ps)
バッテリー容量214kWh
充電時間約5時間 ※60kVA使用時
給電方法商用電源または発電機(電源容量60kVA以上)
電圧商用電源の場合 AC200V帯 (変圧トランスを使用してAC400V帯へ変換)
発電機の場合  AC400V帯 ※50/60Hz
作動油タンク容量490L
全長3540㎜
全幅2085㎜
全高2360㎜
総質量(クローラ含む)7650㎏(20Mホース仕様)
対応機種(2024年2月現在)サイレントパイラー F101、スマートパイラー SX1

*開発中のため、変更になる場合があります。


■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
東京本社/東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階
TEL:080-3712-7614 広報担当:吉野

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