株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)は、施工時のCO2排出ゼロを可能とする、外部給電式の電動パワーユニット「MU200」を開発しました。本製品は、当社が製造販売する油圧式杭圧入引抜機の動力源であり、主力製品の8機種※1に接続可能です。圧入機本体はそのままに、パワーユニットを変えることで、従来機種の施工においてCO2のゼロエミッションを実現できます。
従来のパワーユニットはディーゼルエンジン式であり、CO2排出は避けられませんでした。カーボンニュートラルに貢献するため、当社は2021年、電動の鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラーⓇ GRV0611e」向けの電動パワーユニットを開発。オランダの世界遺産運河の護岸改修プロジェクト※2に導入し、発注者から高い評価を得ています。しかしGRV0611eにしか対応しておらず、従来機種向けの電動パワーユニットの開発が求められていました。本製品の導入により、国内外を問わず、従来機種の施工現場でゼロエミッションを推進できます。まずは脱炭素化を主導するEU市場に投入し、2024年よりレンタル運用を開始します。当社はパワーユニットの電動化をはじめ、自動運転、遠隔操作について、2027年までに全機種への対応を目指しており、本件を皮切りに順次市場投入していきます。
※1 「MU200」対応機種(2023年10月現在)
「サイレントパイラーⓇ」F111、F112、F201、F201A、F301-700、F301-900、F401-1400
「ジャイロパイラーⓇ」F301-G1000
※2 参考:当社ウェブサイト
(https://www.giken.com/ja/solution/main-overseas-project/amsterdamworldheritage/)
■新型機の主な特徴
【電動モーターを採用し、CO2排出ゼロを可能に】
ディーゼルエンジンではなく、電動モーターで油圧ポンプを駆動して機械の油圧動力を得ます。ディーゼルエンジン式の従来機(EU300L5)で圧入施工する場合、満タン(軽油500L)から使いきるまでに約1.3tのCO2が排出されますが、新型機からは一切排出されません。発電機を使わずに送電網やバッテリーから電力を供給すれば、現場におけるCO2をゼロにできます。
【約20%の省エネを実現※1】
高効率な電動モーター(IE4※2クラス)を採用したことにより、従来機と比べ約20%少ないエネルギーで稼働します。消費エネルギーの削減は、環境性だけでなく経済性にも大きく寄与します。
※1 工事内容:10mの先行掘削
使用機材:サイレントパイラーⓇ F112、MU200
杭材型式・寸法:U形鋼矢板(400㎜幅、長さ10m)
※2 国際電気標準会議(IEC)で定められたモーター効率のクラス分類におけるIE4(スーパープレミアム効率)
【軽量・コンパクト・高メンテナンス性】
従来機より、質量200㎏の軽量化、全長650㎜の小型化を実現。圧入機同様、周辺機器であるパワーユニットも軽量・コンパクトであるほど、狭い場所や住宅近接地など現場の適用範囲を広げることができます。また、電動モーターはディーゼルエンジンより点検項目が少なく、日常のメンテナンス時間を短縮します。
■今後の展望
世界の脱炭素化をリードするEUでは、建設業界でも脱炭素化が強く推進されています。EUに限らず、カーボンニュートラルの取り組みが国内外で進められる中で、主力圧入機にゼロエミッション施工の道を開く本製品は、世界の建設業界に対してソリューションを提供できます。
当社は2050年を目標に、ディーゼルエンジン式のパワーユニットの出荷ゼロ、圧入施工におけるカーボンニュートラル達成を目指しています。今後も電動化の機種拡大、進化を図るとともに、バイオ燃料、合成燃料、水素といったエネルギーソースの検討も進め、脱炭素化に向けた選択肢を拡大していきます。
■基本性能
定格出力 | 200kW(272ps) |
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作動油タンク容量 | 490L |
給電方法 | 商用電源または発電機(電源容量300kVA以上) |
電圧 | 3P 380-400VAC(50Hz)、400-440VAC(60Hz) |
全長 | 4050㎜ |
全幅 | 1960㎜ |
全高 | 2350㎜ |
総質量(クローラ含む) | 7050㎏(20Mホース仕様) |
■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラーⓇ」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
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