フィリピンの鉄道建設事業に圧入工法採用

ODA案件に採用。他案件への波及を期待

2023.2.15 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)が製造販売する杭圧入引抜機「サイレントパイラー」による圧入工法が、フィリピンの鉄道建設事業「マロロス-クラーク鉄道プロジェクト」におけるCP N-02工区に採用され、工事が進んでいます。

本プロジェクトは、アジア開発銀行(ADB)の出資※1によるODA案件です。高架橋の橋脚を新設するための土留め壁※2の構築にあたり、民家等が隣接する場所があり、住民生活の妨げとなる工事中の振動や騒音を出さない当社工法が採用されました。2022年4月、現地企業のBNC Construction Inc.へU形鋼矢板600mm幅対応の「サイレントパイラー F201A」を納入しました。

フィリピン政府は「Build, Better, More」と称した大規模なインフラ開発プログラムを推進しており、本案件は同プログラムの旗艦プロジェクトである「南北通勤鉄道延伸事業」の一環で進められています。事業の施工区間には、今回の住宅近接地と同じように、周辺環境への影響を最小限に抑えなければならない現場は数多くあります。本件を通じて圧入技術の優位性をアピールすることで、プロジェクト内外でさらなる工法採用や新規ユーザー開拓、追加の機械販売、他案件への波及効果が期待できます。

※1 土木工事はADB、その他鉄道システム等はJICAが出資。
※2 地盤を掘削する際に、周囲から土砂が崩れてくるのを防ぐために設ける壁のこと。

■「マロロス-クラーク鉄道プロジェクト」の概要

マロロスからクラークおよびクラーク国際空港までの区間(51.2km)と、メトロマニラ第1区のソリス駅とブルメントリット駅を結ぶ区間(1.9km)の計53.1km において旅客鉄道を建設します。

現在マニラとクラーク間の移動手段はバスや車しかなく、人口増加に伴う交通渋滞や大気汚染が同国の課題となっています。鉄道完成後は、2~3時間の移動時間が約1時間に短縮。また、温室効果ガスの排出を年間6万t以上削減する効果を見込んでいます。

ⒸOpenStreetMap contributors
https://www.openstreetmap.org, https://opendatacommons.org

■工事内容

CP N-02 工区にあるサン・フェルナンドで、橋脚を新設するための土留め壁を構築します。500、600mm幅鋼矢板対応の「サイレントパイラー F201A」により、長さ15~30m のU 形鋼矢板510枚を圧入します。

施工現場へは、グループ企業の Giken Seisakusho Asia Pte., Ltd.(本社:シンガポール、代表取締役社長:藤崎義久)が技術指導員を派遣し、技術指導を行っています。

Acciona Construction Philippines Inc. and Daelim Industrial Co. Joint Venture、BNC Construction Inc.からの提供データをもとに株式会社技研製作所作成

■今後の期待

フィリピンに500、600mm幅鋼矢板対応機種を納入したのは初めてです。同国にはこれまで400mm幅鋼矢板対応機種しかありませんでしたが、今回の納入により提案内容の幅が広がったことで適応現場が増え、他案件に採用が連鎖していくことを期待しています。

今回は、家屋や住民生活への影響を最小限にできる工法を探していた現地の施工業者が、マニラ市内で稼働していた「サイレントパイラー」に興味を持ったことをきっかけに、機械販売に結び付きました。同国の大型プロジェクトにおける工事は、圧入技術をPRする絶好のショーケースになります。さっそく施工業者に「サイレントパイラー」の問い合わせが入るなど、波及効果は徐々に表れ始めています。

■事業概要

工事名Malolos-Clark Railway Project (CP N-02)
(マロロス-クラーク鉄道プロジェクト(CP N-02))
工事場所San Fernando, Pampanga, Philippines
発注者Department of Transportation
元請業者Acciona Construction Philippines Inc. and Daelim Industrial Co. Joint Venture
施工業者BNC Construction Inc.
使用機材サイレントパイラー F201A
杭材型式・寸法U形鋼矢板 510枚(600mm幅、長さ15.0~30.0m)
圧入工工期2022年8月~2023年2月

■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
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東京本社/東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階
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