タイの河川護岸整備に「インプラント工法®」

継続的な採用、東南アジア各国の治水対策への波及を期待

2022.10.12 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)が製造販売する杭圧入引抜機「サイレントパイラー」による「インプラント工法Ⓡ※」が、タイの主要河川「パサック川」の護岸整備事業に採用され、工事が進んでいます。

グループ企業の Giken Seisakusho Asia Pte., Ltd.(本社:シンガポール、代表取締役社長:藤崎義久/以下、技研製作所アジア)が発注者に技術提案し、工法採用と機械販売を実現。周辺住民の生活環境への影響を最小限に抑える“無振動・無騒音”施工や施工精度が高評価を得ました。

本事業は、パサック川の中でも物流上重要な約52㎞が整備区間とされ、今回はそのうち約2㎞が対象です。事業は今後も継続予定で、現場見学会などを通じて圧入技術の優位性の普及活動を行い、工法採用および機械販売の拡大を推進していきます。

また、豪雨により河川氾濫が頻発する東南アジアでは国策で治水対策が急がれています。本工事は船舶航行のための護岸整備が主目的ですが、「インプラント構造」の護岸は水害に粘り強く耐え、流域に暮らす人びとの命や財産、文化を守ります。国土強靭化にも大きく貢献する本件が、今後域内各国の治水対策に波及効果を生むことを期待しています。

※ 圧入機で既成杭を地中に押し込み、地球と一体化した粘り強い構造物を構築する工法

■「パサック川整備事業」の詳細

パサック川は、タイ北部から工業集積地のアユタヤに流れる物流上重要な河川です。現行の貨物船に加え、より大きな貨物船の航行を確保するため必要となる河床の掘削と護岸の整備を目的に、2015年より本事業がスタートしました。鋼矢板による護岸は、河床の掘削時に川岸が崩れるのを防ぎ、今後大型船舶が航行した際に発生する波による川岸の浸食も防ぐ効果があります。計画では、タイ中央部を流れるチャオプラヤ川に合流するまでの52km区間に護岸を構築します。

ⒸOpenStreetMap contributors
【出典】https://www.openstreetmap.org, https://opendatacommons.org

■工事内容

長さ15~21m の900mm幅ハット形鋼矢板4,238枚を使用し、延長2kmにわたって粘り強い二重連続壁の護岸を構築します。そのうち住宅の近接地、精度が求められる場所などに施工する2,797枚は、「サイレントパイラー F301-900」にて圧入します。

■採用理由

【他工法では周辺環境、精度、工期に課題】
今回、振動式杭打ち機による振動や騒音が、周辺住民の生活環境を阻害するとして問題となっていました。また、振動式による長尺杭施工では、杭の上端をつかんで地中に打ち込む際、杭に対して真っすぐに力を伝えることが難しく杭先端の変位が増大します。施工管理と修正対処に時間がかかり、全体工期の長期化が懸念されていました。

【「インプラント工法」なら課題をクリア】
「サイレントパイラー」による「インプラント工法」なら“無振動・無騒音”施工が可能。加えて、杭の先端に近く低い位置をつかんで地中に押し込むため、杭へしっかりと力を伝達します。杭先端の変位が生じにくいことから修正にかかる工程を削減し、高精度かつスピーディに施工できます。

■今後の期待

技研製作所アジアは、昨年3月にタイの首都・バンコクに駐在員事務所を開設しました。治水対策など大きな需要を見込むタイで、現地の動向をリアルタイムにキャッチし、工法普及を効果的に進めています。本件を追い風に、今後も継続して情報収集、発信を行うことでタイでの存在感はもちろん、同様の課題を抱える周辺各国における認知度を高めながら、技研グループの目標である「海外売上比率7割」「2031年8月期の売上高1000億円」の実現に向け邁進してまいります。

■事業概要

工事名Embankment to protect riverbank to increase transportation efficiency
工事場所タイ王国アユタヤ
発注者Ministry of Transport
元請業者Nawarat Patanakarn public Company Limited
施工者Thai Fullmore
使用機材サイレントパイラー F301-900 ウォータージェット併用圧入
杭材型式・寸法ハット形鋼矢板900 4,238 枚(長さ15~21m)
うち2,797 枚を圧入
圧入工工期2022年6月~2023年3月(予定)

■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
東京本社/東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階
TEL:080-3712-7614 広報担当:吉野

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