神戸川堤防周辺の地盤沈下対策に 「インプラント工法」採用

43m超の長尺鋼矢板を高精度に施工。継続的な採用、売上見込む

2022.4.11 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)が製造販売する杭圧入引抜機「サイレントパイラー」による「インプラント工法」と、グループ会社のシーアイテック株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:水戸部正智)と共同開発した杭精度管理システム「インプラント NAVI」が、神戸(かんど)川(島根県出雲市)河川堤防の重みで生じている大規模な地域の地盤沈下の対策工事に採用され、2021年度分の工事を完了しました。地盤沈下は堤防沿いの両岸計約7.5㎞で発生しており、160以上の住宅や納屋に傾きや亀裂が生じています。今回の工事は国が初年度として始めた大規模対策の一部。2025年度までに約7.8kmの工事が計画されており(今回の施工延長は計180m)、地域から早急な地盤沈下の収束が期待されています。工法選定では、基盤層まで届く長尺鋼矢板を高精度に施工できる点が評価されました。今後も圧入技術の継続的な採用を見通しており、「サイレントパイラー」「インプラント NAVI」の販売、レンタル拡大を見込んでいます。

■神戸川周辺の地盤沈下

地盤沈下は2002年に初めて確認されて以来、複数個所で継続的に確認されており、50 cm超の沈下が生じた場所もあります。

神戸川流域では1993 年から洪水対策などを目的に堤防整備が行われてきました。20年以上続く今回の地盤沈下の原因は、現場の軟弱地盤が想定よりも深かったためです。過去にも対策工(鋼矢板打設、地盤改良)が実施されましたが、築堤盛土を軟弱地盤が支えきれず、「連れ込み沈下」による家屋等の不同沈下が発生しました。このため、沈下対策として、対象区間において新たに最大45mの鋼矢板を圧入することで、沈下を抑えることとしました。

■工事内容

神戸川沿いの延長計約180m(60m×3カ所)に、「サイレントパイラー F301」(ウォータージェット併用)と「インプラント NAVI」を用い、長さ43m~45mのハット形鋼矢板を計195枚圧入。堤防と宅地の間に連れ込み沈下を防ぐ鋼矢板の連続壁を構築しました。

標準断面図

■インプラント NAVI

「インプラント NAVI」は、杭上部に設置した光学装置「360°プリズム」と「トータルステーション」と呼ばれる計測機器で杭の座標位置や貫入深度、変位、傾斜データをリアルタイムに取得することで、杭一本ごとの精度管理と修正対処を行えるシステムです。電子納品用の出来形帳票を自動作成できるほか、杭の設計データと合わせた3 次元出来形図の作成により「地下の可視化」も可能です。品質管理の向上、出来形管理の省力化、コスト削減などを実現する技術として利用が広がっています。

「インプラント NAVIⓇ」使用中の様子

■採用理由

【長尺杭の高精度な圧入が可能】
工事では軟弱地盤の下にある基盤層まで杭を打ち込むため、最長45m の鋼矢板を施工する必要がありました。

圧入機はハット形鋼矢板を施工する際、他の杭打ち機と異なり、鋼矢板両端の2点をつかんで押し込んでいきます。そのため圧入パワーを鋼矢板に確実に伝えることができるほか、杭先端の変位を起こしにくい特長があります。さらに「インプラント NAVI」を併用することで長尺杭を高い精度で圧入できます。工法選定にあたっては昨年5月に試験施工を実施し、施工精度の高さが評価されました。

【無振動・無騒音】
現場は軟弱地盤であるうえ、民家等が隣接する場所もあります。振動式や打撃式の杭施工では、さらなる地盤沈下を誘発したり、周辺住民に影響を与えたりする懸念がありました。周辺環境の観点から、“無振動・無騒音”施工でその影響を最小限に抑える圧入技術の優位性が評価を受けました。

■事業概要

工事名神戸川軟弱地盤対策工事
工事場所島根県出雲市西園町地先
発注者国土交通省 中国地方整備局 出雲河川事務所
杭材型式・寸法ハット形鋼矢板195 枚(65 枚×3 カ所/45H 型、長さ43m~45m)
圧入工工期2021年12月~2022年3月

■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所 経営戦略部
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