シンガポール大深度下水道トンネル 立坑工事に圧入工法採用

「硬質地盤クリア工法 + ハット形鋼矢板」採用拡大に期待

2021.8.26 ニュースリリース

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)が製造販売する杭圧入引抜機「サイレントパイラー」による圧入工法が、シンガポールの「大深度下水道トンネルシステム(Deep Tunnel Sewerage System/以下、DTSS)」の立坑工事※1に採用され、工事が進んでいます。本案件は、硬質地盤クリア工法※2を用いてハット形鋼矢板を圧入した同国初の工事となります。当社が機械を販売し、グループ企業の Giken Seisakusho Asia Pte., Ltd.(本社:シンガポール、代表取締役社長:大平厚)が指導員を派遣しています。

シンガポールでは近年、硬質地盤の工事案件が増加傾向にあります。また、ハット形鋼矢板は1枚当たりの幅が 900mmと広いことから施工進捗を早めることが可能。さらに、トータルの鋼材重量を他鋼材と比べて抑えられるためコストを抑制できます。これらの理由から、同国では硬質地盤クリア工法を用いたハット形鋼矢板の圧入に対するニーズが今後も高まってくるとみられています。
今回の工事実績により、シンガポールでの工法提案力を一層強化できると考えています。

※1 地表と地下を結ぶ垂直通路のこと。本現場ではトンネルボーリングマシンを設置するための通路になります。
※2 圧入機と連動するパイルオーガで杭先端の直下地盤を掘削し、パイルオーガを引き抜きながら隙間を埋めるように杭を圧入する工法。硬質地盤への圧入を可能とします。

■DTSS
東京都の3分の1ほどの国土しか持たないシンガポールでは水資源の確保が大きな課題となっています。DTSSは、国内の排水を地下に張り巡らせた大深度下水道トンネルで回収、輸送するシステムのことです。集められた排水は沿岸部の処理プラントで浄化され、「NEWater(ニューウォーター)」として再生されます。飲料としての水質基準を満たすニューウォーターは工業用水などとしても使われており、水問題の解決に貢献しています。

シンガポール政府は2025年までに、国土全体をカバーする計88kmの大深度下水道トンネルを構する計画を立てています。本件は同国西部にトンネルを造るフェーズ2の一環で進められています。

DTSSをもとに株式会社技研製作所作成

■工事概要
硬質地盤対応の「サイレントパイラーⓇ F301-900」でハット形鋼矢板を計124枚圧入し、立坑を掘るための土留め壁を2カ所(TS/SS 工区)に構築します。本案件は杭長 26~27.5mの長尺鋼矢板を硬質地盤に圧入するもので、高度な貫入技術が求められます。

※地盤を掘削する際に、周囲から土砂が崩れてくるのを防ぐために設ける壁のこと。

TS 工区の断面図

■採用理由
現場には学校が隣接しているうえ、付近に公営住宅が建っているため住民生活に影響を与えない工法が必須となりました。また、鉄道や道路が近いことから高い安全性が求められました。
「サイレントパイラー」は無振動、無騒音のため周囲の生活環境に影響を及ぼしません。また、機械は施工済みの杭をしっかりとつかんでいるため原理上、転倒の危険がありません。施工条件をクリアできる唯一の工法として採用されました。

■今後の期待
国土の狭いシンガポールでは都市開発において地下空間の活用が進められています。高速道路や鉄道、下水処理施設など、さまざまなインフラや施設が今後も地下に造られる計画です。その中で、硬質地盤クリア工法によるハット形鋼矢板の圧入は採用拡大が大きく期待されています。

■工事概要

工事名DTSS PHASE2 T-10, TS/SS SITE
工事場所Queenstown, Singapore
発注者Public Utilities Board
元請業者西松建設株式会社
施工者TAIYO ASIA (E&C) PTE LTD
使用機材サイレントパイラー F301-900 オーガ併用圧入
杭材型式・寸法ハット形鋼矢板 50H、鋼矢板長 26.0~27.5m
圧入工工期2021年4月~10月

■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は世界の建設課題を解決しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所 経営戦略部
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
東京本社/東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階
TEL:080-3712-7614 広報担当:吉野

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