圧入技術に関する初の英文入門書を出版

当社代表取締役会長 北村精男ら4名の共著

2021.7.9 ニュースリリース

ネットショップを通じ世界で入手可。英語圏での工法普及に期待

圧入原理や杭圧入引抜機「サイレントパイラー」について解説した初めての英語版の圧入技術に関する入門書『New Horizons in Piling:Development and Application of Press-in Piling(和訳:杭打ちの新たな展望:圧入の発展と応用)』が出版され、海外の書店やAmazonをはじめとするネットショップにて販売されています。電子書籍版も販売されており、世界中の方がインターネットを通じて購読できます。

本書は「サイレントパイラー」の発明者で、株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)の創業者でもある北村精男ら4名による共著。これから圧入技術を学ぶ海外の方が基礎から応用まで体系的に理解できる内容となっています。本書の出版により、特に英語圏での圧入技術の認知向上と工法普及の加速を期待しています。

■出版の経緯
これまで海外で圧入技術について知るには、基本を紹介した当社ウエブサイトや実務者、研究者向けの冊子、論文などから断片的に情報を集めるしかなく、初学者が体系的に学ぶのは難しい状況でした。
海外で圧入技術をより広く知ってもらうため、IPA(国際圧入学会)前会長・日下部治氏の発案で今回の入門書を企画。2016年より当社会長の北村と、1994年以来当社と共同研究を行う英ケンブリッジ大学名誉教授のマルコム・D・ボルトン氏、当社技術顧問・寺師昌明氏を含めた4名で執筆を続けてきました。

■初学者でも圧入技術が理解できる一冊に
本書は全5章構成。1章では根入れ構造※1(「インプラント構造」)の基礎が重力式構造の基礎に比べて優れた特徴を持っていることを解説し、2章ではさまざまな圧入機※2を比較検討する中で「サイレントパイラー」の優れた点を指摘。その開発経緯を紹介しています。3、4章では圧入技術の多様な適用事例や機械式駐輪場「エコサイクル」など「サイレントパイラー」を用いた地下開発について述べ、5章では圧入技術の各種研究結果をまとめています。

各章とも実際の施工写真やCGなどが多用され、初学者でも理解できる一冊となっています。

※1 根入れ構造とは、基礎部材を地中に設置して地盤の抵抗力によって外力に耐える構造で、圧入機で杭を押し込んで構築する「インプラント構造」もこれに当たります。一方、重力式構造とは地表近くに基礎を設置した構造で鉛直方向の外力は基礎底面に働く地盤の抵抗力によって、水平方向の外力には基礎底面に作用する摩擦力によって耐える構造です。「インプラント構造」は地震や津波など水平方向に大きな外力が作用する災害にも粘り強く耐えます。
※2 一般的に圧入機とは、機械の自重や重りで本体を固定し、油圧で杭を押し込んでいく機械のことを言います。その中でも「サイレントパイラー」は、機械重量に頼ることなく、既に打ち込んだ杭をつかみ、その引き抜かれまいとする力(反力)を利用して機体を固定するため軽量、コンパクトです。既設杭上を自走できることから作業用仮設スペースを必要とせず、省スペース施工が可能といった優位性があります。

■今後の展望
現在IPA では国内実務者、研究者向けの専門書「圧入工法設計・施工指針」を基に編集した英文手引き書『Press-in retaining structures : a handbook(和訳:圧入工法による擁壁構造物ハンドブック)』の多言語化を進めています。昨年は中国語版を発刊。今後はフランス語、ポルトガル語、タイ語、ベトナム語、ロシア語版の出版を予定しており、すべて完成すれば日本語を含めて8 言語に対応します。同書籍の多言語化により、世界中でさらに圧入技術の理解が広がることを期待しています。

■著者紹介
・Malcolm D. Bolton(マルコム・D・ボルトン)
英ケンブリッジ大学工学部を卒業後、同マンチェスター大学で構造工学の修士号、ケンブリッジ大学にて土質力学の博士号を取得。1980 年より30 年以上、同大学で教授として土質力学を教えました。1994 年から当社との共同研究をスタート。2007 年から9 年間、初代IPA 会長を務めました。

・北村 精男(きたむら あきお)
1967 年に当社の前身となる高知技研コンサルタントを創業。1975 年、圧入原理を実用化した「サイレントパイラー」を発明し、建設公害の元凶と言われた杭打ち工事の無公害化を実現しました。2018 年に「ベン・C・ガーウィック賞」を日本人で初めて受賞。2020 年、代表取締役会長に就任。

・日下部 治(くさかべ おさむ)
東京農工大学農学部を卒業後、東京工業大学大学院で土木工学の修士号、ケンブリッジ大学で土質力学の修士号と博士号を取得しました。1996 年には東京工業大学教授に就任。2016 年から2019 年まで2 代目のIPA 会長を務め、2020 年より同専務理事に就いています。

・寺師 昌明(てらし まさあき)
運輸省港湾技術研究所や株式会社日建設計などに勤務。1999 年から6 年間、東京工業大学客員教授を兼務しました。現在は地盤工学コンサルタントとして国内外のプロジェクトに助言を行っています。2010 年、当社技術顧問に就任。海外における技術書籍出版の経験を豊富に有しています。

■書誌情報
タイトル :New Horizons in Piling: Development and Application of Press-in Piling (English Edition)
著者   :Malcolm D. Bolton、北村精男、日下部治、寺師昌明(アルファベット順)
本体価格 :日本円で10,000円程度
発行元  :CRC Press
発売元  :CRC Press


■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は世界の建設課題を解決しており、採用実績は40 以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所 経営戦略部
高知本社/高知県高知市布師田3948 番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
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