株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:北村精男)が、英国ケンブリッジ大学と行っている圧入工法に関する産学連携共同研究が本年8月をもって25周年を迎えました。
当社では、圧入する杭と地盤の相互メカニズムをより高いレベルの実験・分析技術によって解明するため、1994年から英国ケンブリッジ大学と共同研究プロジェクトを継続しています。毎年夏に数名の学部学生を高知本社に受け入れ、フルスケールでの実証実験により理論と実践を融合させる機会を提供しています。
本プロジェクトにはこれまで28名の学生が参加し、その中から5名が圧入研究による博士号を取得しています。発表した論文の数は50編以上となり、環境、機械、施工、地盤といった圧入に関連する諸分野を融合する「圧入工学」発展の基礎となっています。加えて「回転圧入による地盤抵抗低減」(2010-2011)、「インプラント堤防の津波に対する粘り強さの実証」(2015-2016)、「ウォータージェット併用圧入時の圧入力の低減効果」(2017-2018)など、多くの研究成果が当社の製品開発にも還元されています。
今年のテーマは「圧入された鋼矢板の支持力特性に関する実物大実験」で、7月8日~8月2日の日程で高知本社テストフィールドにて共同実験を行いました。近年、鋼矢板の本設利用は増えつつありますが、その設計法はまだ十分に確立されておらず、本設利用を普及させるためには、鋼矢板の支持力特性に関する実験結果を蓄積していく必要があります。そこで今回は、自社開発した大型土層内に作成した砂地盤に鋼矢板を圧入したのち、垂直載荷試験と水平載荷試験を4パターン実施、圧入した鋼矢板の支持力特性とメカニズムの把握を行いました。今後、実験データの分析を進めながら、2020年7月には論文として発表する予定となっています。
当社では今後も世界各国の研究者・学生との産学連携を推進し、「圧入工学」の発展を担う人材の育成と圧入工法に関わる科学的データの収集・蓄積を行い、言語や文化を超えた圧入工法の優位性のさらなる認知拡大に努めていきます。
■今年の共同研究の様子




今年はケンブリッジ大学のエンジニアリング学部より、2年生のフロス・ウィルコックスさん(写真左から3番目)と3年生のティモ・ジョンさん(写真中央)が来高しました。
■これまでのケンブリッジ大学との共同研究のテーマ一覧
年 | テーマ |
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1994-1995 | 圧力球根・現場調査 |
1996-1997 | ウォータージェットの効果 |
1997-1998 | 圧力球根の解明 |
1998-1999 | 圧入力と杭形状/スピード |
1999-2000 | 閉塞強度測定 |
2000-2001 | フリクションカット,歪測定 |
2001-2002 | 圧入力と極限支持力 |
2002-2003 | 圧入群杭の優位性,振動測定,経年変化 |
2003-2004 | 圧入群杭の載荷試験 |
2004-2005 | 杭の貫入抵抗力 |
2005-2006 | 杭の貫入抵抗力,閉塞と支持力 |
2006-2007 | 引抜力増大のメカニズム |
2007-2008 | 杭の貫入抵抗力,水圧消散と支持力 |
2008-2009 | 圧入中の閉塞 |
2009-2010 | 打抜の効果/矢板を用いたサンプリング |
2010-2011 | 回転圧入による地盤抵抗低減 |
2011-2012 | 圧入杭周辺地盤内の水圧変化の空間分布 |
2012-2013 | 砂地盤での回転圧入中の摩擦の低減 |
2013-2014 | 鋼矢板連続壁の性能 |
2014-2015 | 密な砂地盤での回転圧入中の水締めメカニズム |
2015-2016 | インプラント堤防の津波に対する粘り強さの実証 |
2016-2017 | 底板改良あり/なしの鋼矢板矩形ピットの設計と施工 |
2017-2018 | ウォータージェット併用圧入時の圧入力の低減効果 |
2018-2019 | 回転切削圧入時の閉塞現象の可視化 |
2019-2020 | 圧入された鋼矢板の支持力特性に関する実物大実験 |
経営戦略部 情報企画課
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【高知本社】高知県高知市布師田3948 番地1
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