株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:北村精男)は、無公害型の油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー」の生産で、累計3,000台を達成しました。
生産3,000台目となった機械は、本年8月に出荷を開始した新型機「サイレントパイラーF101」で、全てのパーツを構造・形状・材料から見直して最適化を図り、U形鋼矢板400mm幅専用機として高性能、長寿命化を実現した圧入機です。
サイレントパイラーの発明
建設公害への対処を掲げて創業した当社が、無公害杭圧入引抜機「サイレントパイラー」を発明したのは40年前の1975年にさかのぼります。それまでの杭打機でみられた振動や打撃エネルギーを用いず、施工済の杭をつかんで それを反力とし、次の杭を静荷重で地中に押し込む「圧入原理」を世界で初めて実用化させ、振動や騒音を発生させることなく、建設公害の元凶と言われた杭打工事の無公害化を実現しました。
新奇開発と技術革新
サイレントパイラーの発明以来、当社は一貫して、圧入原理の優位性を基軸に、建設工事のあるべき姿である「建設の五大原則」を高いレベルでバランス良く遵守する機械と工法の開発を進め、世界の建設を変える「工法革命」を推進してきました。
①従来機の進入が困難な低空間での杭施工を実現した「クリアパイラー」、②境界線や隣接構造物に近接し隙間なしで杭を圧入する「ゼロパイラー」、③砂礫や岩盤などの硬質地盤への圧入施工を可能にした「クラッシュパイラー」、④既設構造物や地中障害物を打ち抜いて鋼管杭の回転切削圧入を行う「ジャイロパイラー」(最大杭径2500mm)、⑤杭の搬送、建て込み、圧入の全工程を完成した杭連続壁の上で完結させ、水上や傾斜地でも仮設工事が不要な「GRBシステム」など、施工環境や地盤条件に応じた独自の圧入システムを次々と開発してきました。 その成果は世界に広がり、これまで30カ国以上で難工事を克服し、圧入工法の領域を広げ新しい市場を創出しています。
粘り強い構造物を科学的に構築
工場生産された高品質な杭を静荷重で地中に押し込むことで、地球と一体化した強靭な完成杭ができ上がる圧入原理の優位性を活かし、当社では、構造物の在り方を変革する「構造革命」にも取り組んできました。
圧入工法によって構築する粘り強い構造物を「インプラント構造」と銘打ち、防災・減災対策や都市再生技術として、国内外に早くから提案し実践を重ねています。 これまでに、原子力発電所の前面護岸には「完全遮水壁築造」の必要性を提唱(日経コンストラクション2000年2月25日号掲載)し、海岸堤防には連続杭で“背骨”を入れる「インプラント堤防」を提案(同誌1999年12月24日号掲載)するなど、インプラント構造による社会基盤整備の技術革新を訴えてきました。
その効果は、防災分野を中心に確実な広がりを見せ、実際に、東日本大震災からの復興に向けた東北沿岸部での防潮堤の再構築をはじめ、南海トラフ地震に備える高知海岸での堤防改良工事や、大規模土砂災害のあった伊豆大島での導流堤の構築など、様々な場面でインプラント構造の採用が広がっています。
さらに当社では、杭の地中への貫入状況をリアルタイムに計測し制御できる圧入工法の特性を活かし、自動運転システムや圧入管理システム、GIKEN IT システムなどの先進の科学的施工管理技術を実用化させ、圧入機への標準搭載を進めてきました。また、学術的な実験と現業における実証を融合させることで圧入原理の科学的解明を進め新型機や新工法開発への展開を図るべく、1994年から英国ケンブリッジ大学との共同研究を開始、2007年の国際圧入学会(IPA)の創設とその運営にも携わり、圧入杭と地盤との相互作用の解明により見えない地下を可視化する「圧入工学」の推進にも取り組んでいます。
インプラント工法で世界の建設を変える
求められる機能を確実に発揮する強靭なインプラント構造物を、建設の五大原則を遵守して場所を選ばず高精度に構築する「インプラント工法」は、世界的な喫緊の課題である防災・減災対策はもとより、地球環境と文明社会の共生を図る未来志向の社会基盤整備においても絶対的に不可欠な技術です。当社はこれからも、圧入原理の優位性を基軸に、より高度で完成度の高い機械・工法の開発を推し進め、構築する構造物の設計も含めたトータルパッケージ展開で、建設のあるべき姿を世界規模で実現する「工法革命」に取り組んでいきます。
<サイレントパイラー生産3,000台達成までの歩み>
1975年7月サイレントパイラー1号機が完成
1986年4月スウェーデンに海外第1号機を納入
1990年11月サイレントパイラー累計生産台数1,000台達成
1997年3月サイレントパイラー累計生産台数2,000台達成
2014年9月サイレントパイラー累計生産台数3,000台達成
以上
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