<事例紹介>
圧入工法がアジアで続々採用!
加速フェーズを迎えたアジア展開
今回のメルマガでは、インドネシアとシンガポールで圧入工法が採用された事例を紹介します。圧入工法のアジアへの展開は加速フェーズを迎えており、現地の圧入機ユーザーとの連携のもと着実に進展しています。
■インドネシアで「硬質地盤クリア工法」
初採用ジャカルタの大規模下水道整備(ODA)案件に寄与
まずは、インドネシアの実績を紹介します。インドネシアの首都であるジャカルタは、下水道の普及率が低く水質問題が深刻化しており、日本の政府開発援助(ODA)のもと、全域で整備工事が計画されています。本現場は、下水道を非開削で建設するための地下掘進機の発進到達立坑を構築するものです。特に交通量の多い市内の狭隘な場所での工事のため、工事中の振動や騒音、施工スペース不足が課題となっていました。そこで、振動・騒音を抑えながら、省スペースで高精度かつ迅速に硬質地盤に対して施工できる当社の硬質地盤クリア工法がインドネシアで初めて採用されました。5月に実施した現場見学会では、コンサルタントや専門工事会社など約50名が参加し、現場の制約条件をクリアする当社技術が高く評価されました。こうした取り組みを継続しながら、さらなる圧入工法の普及を目指します。

■工事概要
| 元請業者 | 株式会社 熊谷組、PT. WIJAYA KARYA(Persero), Tbk、 PT. JAYA KONSTRUKSI MANGGALA PRATAMA, Tbk 共同企業体 |
|---|---|
| 使用機材 | サイレントパイラー™ F201 |
| 圧入工工期 | 2025年1月~12月(予定) |
■硬質地盤クリア工法とは
パイルオーガを装着した圧入機を用いて圧入とオーガ掘削を連動させることにより、硬質地盤に鋼矢板を圧入する工法です。本工法は砂礫・玉石や転石・岩盤層などの硬質な地盤でも圧入の優位性を損なうことなく施工できます。また、圧入機自体が軽量・コンパクトなため、施工ヤードに制限がある狭隘な場所でも省スペースで施工することができます。岩盤や礫質土に対し、圧入機本体に装着したパイルオーガで先行掘削を行った後に杭を圧入することで、他工法で必要となる地盤を砂に置き換える作業が不要となり、極めて効率の良い施工を実現しました。

■シンガポールで広がる「ジャイロプレス工法™」
ホテル建設に伴う土留め工事で採用
続いて、シンガポールの実績を紹介します。シンガポールは国土面積が東京23区と同程度の国です。国土が限られているため、人口や施設が密集する地域が多く、現場の厳しい制約条件が課題となっています。本現場は、ホテル建設に伴う土留め壁を構築するものですが、築古物件や集合住宅、オフィスが隣接しており、施工スペース確保と施工時の振動による建物への影響が課題でした。また、既存のコンクリート構造物を撤去する工程も必要となるため、工期が長引くことも懸念されていました。
そこで、省スペースで周辺環境への影響を抑えて施工可能である当社のジャイロプレス工法™が採用されました。また、障害物を解体・撤去することなく杭を圧入可能であるため、工期を短縮できる点も評価されました。


■工事概要
| 元請業者 | Kim Hua Construction Pte Ltd |
|---|---|
| 施工業者 | Guan Chuan Engineering Construction Pte Ltd |
| 使用機材 | ジャイロパイラー™ GRV1230 |
| 杭材型式・寸法 | 鋼管杭138本(φ1000 L=9.5~12m) |
| 圧入工工期 | 2025年4月29日~7月7日 |
■ジャイロプレス工法™とは
機械が杭の上を自走しながら、先端に切削爪を付けた鋼管杭を回転圧入して地中に貫入させる工法です。本工法は岩盤などの硬質地盤だけでなく、従来工法では施工が困難だった、既存擁壁や鉄筋などの地中障害物を含む地盤に対しても鋼管杭を圧入することができます。既存構造物を打ち抜けることから残置物の撤去が不要なうえ、掘削機による事前掘削が要らず、工期・工費を縮減できます。また、鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラー™」は機体が既設杭をしっかりとつかんでいるため原理上転倒の危険性がなく、振動や騒音を抑えながら施工できるため、周辺への影響を最小限にとどめることができます。


■シンガポールの市況
シンガポールで圧入機を保有している施工会社は約30社で、約70台の圧入機が稼働しています。シンガポールは国土が限られており、環境規制も厳しい国です。そのため、狭隘な土地でも環境負荷を小さく施工できる圧入工法の優位性が高く評価されており、圧入機の需要が高い国といえます。
ジャイロプレス工法™は、「GTOSS™ ASIA」の会員企業であるGuan Chuan社と2023年11月に実施したデモンストレーションにおいて、制約条件を克服する画期的なソリューションとしての有効性を示し、建設関係者から高い評価を受けました。 2025年1月の研究施設建設事業での初採用を皮切りに、今回のホテル建設事業など、今後も限られた敷地での施工が求められる都市再開発事業での採用が期待できます。
当社はこの状況を追い風として捉え、建築分野へはもちろん、堤防や高速道路、鉄道などの幅広い分野で技術提案を進めていきます。引き続き、現地の「GTOSS™」会員企業との緊密な連携のもと、アジア圏における案件創出と当社技術の普及を着実に加速させてまいります。
■「GTOSS™」のアジア展開

GTOSS™は圧入機ユーザーの皆さまに向けた総合支援サービスです。GTOSS™の目的は、当社と理念を共有する圧入機ユーザーの皆さまに、当社が長年培った現場の生産性を向上させる技術とノウハウを提供し、現場での生産性向上と施工品質の安定化を支援することです。GTOSS™会員の皆さまには、より迅速かつ正確な圧入施工を実現するための技術指導や、機械の保守・点検サービスを通じて、現場力の強化を図っています。
圧入工法の海外展開当初は、圧入機のオペレーターを含む技術者の不足や、機械のメンテナンス体制の未整備により、施工が難航するケースが少なくありませんでした。その課題に対し、現場指導や巡回点検を定期的に行い、圧入技術の底上げと保守サービスによる予防保全の徹底に取り組んできました。2021年10月には、グループ企業の技研製作所アジアが、GTOSS™ ASIAの運用を開始。現在ではアジア地域で10社の会員企業が活動しており、着実にネットワークを拡大しています。
世界規模でみると、従来の工法では解決できない建設課題は数多く存在しています。今後も、多くの圧入機ユーザーの皆さまにGTOSS™会員となっていただき、当社が生み出した圧入工法をより効果的に活用してもらうことで、世界各国の社会課題の解決に協働して取り組んでまいります。
■HOT TOPICS
技研グループは海外展開を加速中!
【メールマガジンに関するお問合せ先】
株式会社技研製作所 メールマガジン担当
所在地 東京都江東区有明3丁目7番18号 有明セントラルタワー16階(東京本社)
TEL 03-3528-1633
E-MAIL press-in_mag@giken.com