GIKEN圧入技術マガジンvol.24

2026.6.30 メールマガジン

 <事例紹介> 

圧入工法による地下空間の創出と有効活用事例


今回のメルマガでは、圧入工法による地下空間の創出と有効活用事例として、20151月に完成した京都駅八条口西・東自転車駐車場に採用されたエコサイクルをご紹介します。

京都駅前のエコサイクルは供用開始から約10年が経過した現在も、持続的に機能する都市インフラとして利用されています。駅前空間を取り巻く環境が変化する中にあっても、本事例が今後の駅前・広場整備を検討する上での一つの示唆となれば幸いです。

エコサイクル™イメージ図

エコサイクルとは

エコサイクルとは、地下空間を活用した円筒形状の機械式駐輪場です。駅前や道路、公園など地上部に充分なスペースが確保できない場所でも、地上部の景観や機能を損なわずに、地下に大容量の駐輪機能を確保できる点が特長です。地上にはコンパクトな入出庫ブースのみを設置し、地下に自転車を自動で収容する構造とすることで、利用者は地下に降りる必要が無く、安全性や防犯性の高い駐輪施設が実現できます。 また、最短約10秒で自転車の出庫が可能であるため、ラッシュ時にも円滑に利用できる利便性の高いシステムとなっています。さらに、地下に収容することで、景観の向上や歩行空間の確保に寄与するとともに、雨濡れや盗難の防止など利用環境の向上にもつながります。

★エコサイクルの利用方法

事業の目的と背景

京都市では、「歩くまち・京都」総合交通戦略のシンボルプロジェクトとして、京都駅南口駅前広場の整備を推進していました。本計画では、以下の3つの基本方針が掲げられています。

①「歩くまち・京都の玄関口」
使いやすく、人にやさしい交通結節点としての機能確保

②「京都の顔」
おもてなしの心を備えた広場の形成

③「まちの賑わい」
活気あふれる広場の形成

(課題)
既設の駐輪場は地上ラック式であったため、歩行スペースを占用し、歩行空間が圧迫されていました。また、歩道を通行する自転車と歩行者の動線が交錯している状況でした。

エコサイクル採用理由

こうした課題に対し、地下空間を有効活用した駐輪場整備により、景観に配慮しつつ歩行空間を確保するとともに、歩行者と自転車の動線分離を図る方針が掲げられました。

この方針を踏まえ、限られた駅前空間を有効活用できる省スペース性・高収容性に加え、安全性や利便性に優れ、周辺景観に調和するデザイン性が評価され、機械式地下駐輪場(エコサイクル)の導入が決定されました。

また、施工箇所は交通量の多い駅前であり、新幹線軌道に近接する条件であったため、周辺環境への影響を最小限に抑えながら施工できる点や、圧入工法による合理的な構造・施工により安全かつ短工期が可能である点も採用の一因となっています。

▲整備前の歩行空間

▲駐輪場位置図

事業概要

事業名京都駅南口駅前広場整備事業
所在地京都市京都駅八条口西自転車駐車場:南区西九条北ノ内町(八条西洞院付近)
京都市京都駅八条口東自転車駐車場:南区東九条西山王町(アバンティ前)
発注者京都市
元請業者株式会社技研施工
収容台数計612台 八条口西408台(2基)、八条口東204台(1基)
竣工2015年1月

■駐輪場(エコサイクル)の構造概要

本駐輪場は、43のハット形鋼を外殻壁として用いた円筒形状の地下構造物です。中間リング梁にはH形鋼を配置し、底版は鉄筋コンクリート造としています。地上部の入出庫ブースを支える上床版は、H形鋼による格子梁で支持される合成スラブ構造としています。

※現行モデルは44枚となります

施工方法概要

エコサイクルの外殻壁となる鋼矢板(ハット形鋼)を、専用圧入機「サイレントパイラー™」で所定の径の円周状に圧入。連続壁に囲まれた内部を掘削し、地下空間内に機械装置を設置。最後に、上床版の上にプレハブ化された入出庫ブースを設置して完成となります。

本計画地は、硬質な砂礫地盤での躯体構築のため、硬質地盤対応の専用圧入機にて施工を行いました。圧入機を使用することで、施工中の振動・騒音を極めて少なくすることができ、かつ高い安全性を有している(※)ことから、新幹線軌道等の重要構造物に近接した施工も影響を与えず安全に実施しました。

(※)「サイレントパイラー」は、既に打ち込まれた杭をつかんで施工することから原理上転倒の恐れがありません。

★設置手順のイメージ動画

▲ハット形鋼圧入状況

▲施工状況図(内部掘削状況)

整備による効果

これまで駐輪スペースが歩道を占有していましたが、エコサイクルにより地下空間を最大限有効活用することで、景観の向上に加えゆとりある歩行空間を創出しました。入出庫ブースは、京都駅前の景観に調和したデザインとすることで、街並に溶け込んでいます。また、駐輪空間を地下化することで、自転車の雨濡れや盗難防止に寄与するだけでなく、地上部は安全で快適な空間を創出しています。

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▲完成前

▲完成後

まとめ

本事例は、地上空間の質を高めながら都市機能を確保する「地上に文化を、地下に機能を」というコンセプトを実現したものです。京都駅前における本事例が、今後の駅前整備やまちづくりにおける有効なモデルケースとして活用されることを期待しています。

エコサイクルはこれまで全国28箇所、67基(総収容台数12,887台)の完成実績があります。(20266月時点)

その他の実績につきましては「こちら」をご覧ください。

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