GIKEN圧入技術マガジンvol.23

2026.3.11 メールマガジン

 <事例紹介> 

仮設レスで鋼管杭連続壁を急速施工!
河川に並行する道路崩壊箇所の復旧事例


今回のメルマガでは、道路崩壊後に応急復旧によって片側交互通行となっていた箇所の本復旧事例を紹介します。
当該現場は河川に隣接した狭隘地であり、交通インフラの維持と早期復旧が強く求められていました。そこで、仮設工や通行制限を最小限にすることができる「ジャイロプレス工法™」「GRBシステム™」を採用し、被災箇所に対して鋼管杭を回転切削圧入することで自立式山留め擁壁を構築しました。

鋼管杭施工直後*1
*1:山形県からの提供データをもとに株式会社技研製作所が一部加工

■ 道路の被害状況と応急対策

位置図*2
※2:山形県からの提供

被災した道路は山形県を流れる最上川沿いを走る主要な道路であり、病院などへのアクセスを担うバス路線であるとともに、通勤・通学などの利用者も多く地域にとって重要な社会インフラとなっています。令和5年2月、侵食や老朽化などの要因が重なり延長約15m、幅約3mにわたって道路が崩壊しました。路面に変状が確認された段階で通行止めの措置がとられ、人的被害は発生しなかったものの、多くの方が利用する道路であるため、早期の復旧が望まれておりました。

 

 

被災状況*2
※2:山形県からの提供

応急対策では、鋼矢板による土留め壁の構築及び崩壊面へのモルタル吹付が行われました。多くの利用者が想定される5月の大型連休前には、片側交互通行への切替えが実施されました。

応急対策後*2
※2:山形県からの提供

■ 本復旧にあたっての課題

被災した道路は、最上川と斜面に挟まれた狭隘な地形であることに加えて、応急対策で確保した片側交互通行を維持したまま本復旧を行うことが求められていました。また、河川に隣接した道路工事であるため非出水期の限られた期間で工事を完了させる必要がありました。
工法選定では、「大型ブロック積擁壁」、「もたれ式擁壁」なども候補となりました。しかし、これらの工法では、大型クレーンの設置が必要となり、重機配置による全面通行止めを回避できません。また、施工にあたり河道内の仮締切が必要となり、工期が長期化するほか、費用が増大するとともに、河川内作業による出水時のリスクを避けられないという課題がありました。
ジャイロプレス工法とGRBシステムを用いた「自立式山留め擁壁」は、これらの課題を解決するソリューションとして採用されました。

構造比較*1
*1:山形県からの提供データをもとに株式会社技研製作所が一部加工

計画平面図*1
*1:山形県からの提供データをもとに株式会社技研製作所が一部加工

標準断面図*1
*1:山形県からの提供データをもとに株式会社技研製作所が一部加工

■ ジャイロプレス工法とGRBシステムの特長

ジャイロプレス工法は、機械が杭の上を自走しながら、先端に切削爪を付けた鋼管杭を回転圧入して地中に貫入させる工法です。岩盤などの硬質地盤だけでなく、従来工法では困難だった、既存擁壁や鉄筋などの地中障害物を含む地盤に対しても鋼管杭を圧入することができます。これにより、既設構造物の撤去に必要な工種が減り、周辺環境や地域経済への影響を最低限に抑えながら、短期間で構造体を構築できます。

GRBシステムは、すべての機械装置を既設杭上で稼働させることで、仮設桟橋や仮設道路など一切の仮設工事を不要とする仮設レス施工を実現するシステムです。杭の搬送、建て込み、圧入などの全工程を杭上で完結させることができ、狭隘地であっても機械幅さえ確保できれば、杭圧入を行うことができます。

■ 本現場におけるジャイロプレス工法の適用

本現場では、ジャイロプレス工法およびGRBシステムにより、自立式山留め擁壁を急速構築しました。
ジャイロプレス工法で圧入した鋼管杭は、そのまま擁壁(本設構造物)となります。他工法では、河道内の仮締切が必要でしたが、本工法では杭上で施工を完結することで、出水時のリスクを避けつつ、本体工事のみを効率的に行うことができました。
また鋼管杭設置位置には、既設擁壁等のコンクリート構造物も存在していましたが、先端にリングビット(切削爪)が付いた鋼管杭を回転圧入するため、問題なく施工ができました。

GRBシステムを用いた施工の様子*2
※2:山形県からの提供

施工業者國井建設株式会社、株式会社佐藤重機建設、株式会社技研施工
使用機材ジャイロパイラー™ GRAL1520/SP8A
クランプクレーン™ CB4-2
杭材型式・寸法鋼管杭:
杭径1500mm 板厚15/18mm 杭長19.5m 1-3箇所継ぎ 施工本数18本
小口径鋼管:
杭径318.5mm 板厚10.3mm 管長 11.0m 施工本数17本
圧入工工期2024年4月~2024年6月

圧入施工完了後*1
*1:山形県からの提供データをもとに株式会社技研製作所が一部加工

竣工後*2
※2:山形県からの提供

■ おわりに

道路の復旧工事では、現場条件により作業スペースの確保が困難な場合や、大規模な仮設工の構築に時間と費用がかかる場合があります。また、近隣住民の安全を守りながら、交通に影響を与えない対策が求められます。今回紹介した構造形式・施工方法であれば、道路の崩落箇所でもできる限り片側交互通行を維持しながら擁壁を構築でき、仮設桟橋などの仮設工が不要なため、費用を削減し工期を短縮することが可能です。

過去のメルマガでは、道路復旧に関する事例も紹介しています。ぜひ以下のリンクからご覧ください。

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