GIKEN圧入技術マガジンvol.21

2025.7.16 メールマガジン

 <事例紹介> 

ジャイロプレス工法™による単杭施工が海岸堤防の基礎工事に採用
建物の基礎など、杭が連続していない箇所での施工を実現!


今回ご紹介する単杭施工アタッチメントは、ジャイロプレス工法™において鋼管の単杭施工を実現するものです。本アタッチメントによりウェイト(重り)の重量を反力として利用することで、既設杭を必要とせずに圧入施工が可能となります。また、アタッチメントにはクローラが装備されており、現場内での自由な移動を実現します。

単杭施工アタッチメントを装着したジャイロパイラー™

これにより、建物の基礎や堤防の基礎など、杭が連続していない箇所でも効果的な施工が実現できます。また、狭隘地など、大型重機を使う他工法では対応が難しかった現場にも柔軟に対応できる点が大きな特長です。

ジャイロプレス工法™による単杭施工_愛媛県愛南町

単杭施工アタッチメント概要

■ジャイロプレス工法™とは

ジャイロプレス工法™は、鋼管杭の先端にリングビットを付けて回転圧入することで硬質地盤やコンクリートなどの地中障害物を貫通し、粘り強いインプラント構造物を急速構築する工法です。既存構造物を残したまま鋼管杭を施工できる特長があります。1台の圧入機で施工可能なうえ、地盤の掘削作業や砂への置き換えが不要なため、工費・工期の縮減が可能。また、先端のリングビットにより、圧入杭の断面だけを回転切削することで、排土量を抑制した環境に優しい工法です。

ジャイロプレス工法™概要

■施工事例:防潮堤の基礎杭構築

単杭施工アタッチメントによる施工は、愛媛県愛南町の御荘地区の海外保全施設整備工事における防潮堤の基礎杭構築に採用されました。本工事は、津波や高潮、波浪などの自然災害から海岸およびその背後地を守ることで、地域住民の安全を確保し、港湾機能を維持するために計画されました。

出典:『第2回愛南町御荘地区沿岸津波対策検討委員会海岸保全施設の整備方針について」19頁(愛媛県)

【採用理由】

近隣には商業施設や宿泊施設、レジャー施設が立地しており、振動や騒音をできる限り抑えた施工方法が求められました。また、御荘地区の沿岸部は多様な生物が生息しており、自然豊かな環境が広がっています。これらの生態系に悪影響を与えることのないよう、環境に配慮した工法が必要とされました。

従来工法では、大型重機による大規模な掘削が伴うため、排土の処理や振動・騒音が避けられず、周辺施設や希少生物への影響が懸念されていました。そうした課題に対応するため、低振動・低騒音かつ排土の発生を大幅に抑制できる「ジャイロプレス工法™」による単杭施工が採用されました。
圧入機には生分解性のオイルやグリースを使用しており、万が一油脂が流出しても自然分解されるため、生態系への影響を最小限にとどめることが可能です。本工事では、単杭施工アタッチメントを用いて、4.0mピッチで鋼管杭12本を圧入し、防潮堤の基礎杭を構築しました。

【圧入工事概要】

施工業者株式会社技研施工
使用機材サイレントパイラー™ F401-G1200
単杭施工アタッチメント AM187
杭材型式・寸法鋼管杭12本(φ800、t=17、長さ28.5~29.0m)
圧入工工期2024年10月8日~10月31日

■今後の展望

今回ご紹介した「単杭施工アタッチメント」は、圧入機が反力を確保するための既設杭を必要とせず、建築物の基礎や防潮堤基礎、抑止杭など単杭構造にジャイロプレス工法™の適用範囲を拡げる技術となりました。低振動・低騒音、省スペース、少排土といった圧入技術の優位性はそのままに、さまざまな制約条件をクリアし、現場によっては工期・工費の縮減を実現します。単杭施工の建設課題にソリューションを提供する本技術は、民間建築や防災・減災、国土強靭化対策工事において、工法選定の新たな選択肢になると考えております。

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