八潮市の道路陥没現場で早期復旧に圧入工法 全国の老朽化した下水道再整備に技術提案へ

2025.8.7 ニュースリリース

このたび八潮市で発生した道路陥没事故により影響を受けられている皆様に、心よりお見舞い申し上げます。また、尊い命を失われた運転手の方に深く哀悼の意を表するとともに、ご遺族および関係者の皆様に謹んでお悔やみ申し上げます。

株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長 CEO:大平厚)とグループ企業の株式会社技研施工(本社:高知市、代表取締役社長 CEO:西川昭寛)は、埼玉県八潮市の道路陥没現場において、当社独自の圧入工法を活用し、陥没した道路や下水道の早期復旧を進めています。

今年1月末に、現場道路が大きく陥没しトラックが転落、運転手が安否不明となりました。流れる下水やがれき、相次ぐ地盤の陥没により救助は難航を極めましたが、緊急を要する下水道のバイパスルート構築や救出立坑の設置、本管破損箇所への進入路設置に、当社の油圧式杭圧入引抜機「サイレントパイラー™」が多数投入され、現地ユーザーとも協力し救出作業に貢献しました。その中で技研施工は、まず2月に救出立坑に必要な地盤改良のために「スマートパイラー™」を用いて、3日間で鋼矢板500枚を圧入。また、3月には進入路確保のための掘削工事に「ジャイロパイラー™」を投入し、鋼管杭による連続壁で土留めを実施しました。

現在も引き続き下水道管の復旧工事が進められており、一日も早く住民生活の安心安全が図れるよう、復旧に向けて関係機関との連携を一層深めてまいります。

今回の八潮市の例のように、全国に張り巡らされた下水道管の老朽化は顕在化しており、道路陥没の危険性も各所に存在しています。このため国は計画的な下水管の点検、改築に取り組んでいます。当社グループは今回の経験を生かし、国・自治体への技術提案を強化し、新たな技術開発にも取り組むことで、将来にわたって住民生活に欠かせないライフラインを守り、安心安全なまちづくりに貢献してまいります。

5月から進められている下水道管復旧作業の様子

■作業の概要

破損した管を迂回するバイパスとなる仮排水管の埋設を進め、これと並行して管の中に取り残された運転手を救出するための立坑構築、破損箇所からアプローチするための掘削作業が進められました。

※ 画像出典:「中川流域下水道管に起因する道路陥没事故について」(埼玉県ウェブサイト)
https://www.pref.saitama.lg.jp/c1502/news/nakagawa0128.html?from=chumoku#kusakukoji

■当社グループが担当した工事の概要

グループ企業の技研施工は2月下旬より、立坑設置に向けた地盤改良に伴う泥水対策として、作業の高速化、機体の軽量化を実現した圧入機「スマートパイラー™」を用い、24時間体制により3日間で鋼矢板500枚の圧入を完了しました。同様に3月中旬からは鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラー™」を投入して、運転手救出に向けた破損箇所からの進入路設置のための土留壁を構築。22日間で鋼管杭30本を圧入し、掘削作業の安全性を確保しました。5月からは、下水本管の復旧工事に向けて鋼管杭26本の圧入を完了させています。

■圧入工法採用の理由

現場は周辺住民への配慮が最大限求められる上、作業エリアが限られており、非常に難しい状況でした。当社の圧入工法は、無振動・無騒音での杭施工が可能なことに加え、施工機械が軽量コンパクトで施工した杭の上を移動できるため、省スペースでの施工が可能であり、施工した杭を常に機械が掴んでいるため転倒等の危険がありません。24時間体制で様々な重機が目まぐるしく稼働する限られた作業エリアで、迅速かつ安全に複数工種の同時並行作業ができることが当社技術の評価につながりました。

■社会問題となっている下水道管の老朽化対策に積極提案

八潮市の道路陥没事故を受け、国土交通省は1994年以前に設置された直径が2m以上の下水道管の緊急点検を全国の自治体に要請しており、総延長は約5000㎞に及びます。また、下水道管の多くは道路の地下を通っているため、その改修にあたっては交通や周辺の住環境などへの負荷をできるだけ抑える必要があります。
当社では各自治体に対して引き続き圧入技術を活用した最適な工法を積極的に提案していくことと併せて、現場の状況に対応する最適な技術の開発にも取り組んでまいります。

 

 


■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラー™」を製造販売し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所 広報担当:林
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00)

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