<工法提案・製品紹介>
適用範囲を拡大/施工を効率化
進化した低空頭対応圧入機を紹介!
~「新型の鋼管杭対応機」・「NETIS登録の鋼矢板対応機」~
今回のテーマは、空頭制限※1下において鋼矢板や鋼管杭を圧入することができる「上部障害クリア工法」です。従来の圧入機では施工できなかったクリアランス2.5mでの鋼管杭圧入を実現した超低空頭対応の新型の鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラーⓇ」と、新たにNETIS登録された600mm幅のU形鋼矢板にも対応している低空頭対応の杭圧入引抜機「クリアパイラーⓇ CLW100」をご紹介します。
※1 橋梁の桁下や電線の下など頭上空間に制限があることを空頭制限といいます。
■上部障害クリア工法とは
上部障害クリア工法とは、橋梁や電線の下など上部に障害物がある現場で杭を圧入する工法です。重機が入ることが難しい空頭制限下で、クレーンを使うことなく杭を建て込めるように開発された、低空頭対応の特殊な圧入機を用いて施工します。これにより、空頭制限下で橋脚の耐震補強工事や仮締切、河川改修工事を行う際にも、橋げた等の上部障害物の解体・撤去や迂回道路の設置が不要となり、周辺交通や地域経済に影響を与えることなく、より効率的に杭を貫入させることが可能となります。

通常の圧入機では、杭の建て込みに別途クレーンを用意する必要があり、揚程の確保などによって余分なクリアランスが必要となります。一方、低空頭対応圧入機「クリアパイラー」は付属の吊込装置を用いて杭の建て込みを行うことができます。また、機械の全高も抑えられているため、施工に必要なクリアランスを2m以上圧縮しました。

F201A(通常の圧入機)とCLW100(クリアパイラー)の比較
■2.5mのクリアランスで鋼管杭の圧入を実現 ~超低空頭対応ジャイロパイラー~
空頭制限下かつ硬質地盤(換算N値50超)でも鋼管杭を圧入可能な新しいジャイロパイラー ※2を紹介します。従来から吊込装置が付属した低空頭対応のジャイロパイラーは存在していましたが、機械の上方から杭を建て込むため、4.5mのクリアランスが必要でした。そこで、杭の建て込み方法を一新し、最小2.5mのクリアランスでの施工を実現したのが、「超低空頭対応ジャイロパイラー」です。
※2 鋼管杭回転切削圧入工法「ジャイロプレス工法®」専用の圧入機です。本工法は鋼管杭に切削爪を付けて回転切削圧入することで硬質地盤やコンクリートなどの地中障害物を貫通し、地震や津波にも粘り強く耐える鋼管杭連続壁を構築します。

超低空頭対応ジャイロパイラーは機械の各部が回転できる構造になっており、吊込装置の代わりとなる専用の杭投入装置を用いて、機械の側面から横向きに杭を建て込むことができるようになりました※3。これにより、クリアランス2.5mという厳しい空頭制限下での施工を実現しました。
※3 超低空頭対応ジャイロパイラーの杭投入方法は特許取得しています。【特許第7252424号】

■600㎜幅U形鋼矢板にも対応 ~CLW100~
空頭制限下で鋼矢板を貫入可能な圧入機「CLW100」を紹介します。CLW100は1.75mのクリアランスがあれば施工可能で、従来機でも対応していた500mm幅に加え、600mm幅のU形鋼矢板にも対応しました。1枚当たりの施工幅が広がることで、工費・工期の縮減に寄与します。
また、CLW100はチャック※4前方が左右に開く構造になっており、チャックの上方からではなくチャックの前方から鋼矢板の建て込みを行えるようになりました。建て込み鋼矢板長を長くすることが可能となり、継施工※5における継箇所数を減らすことで工程短縮にもつながります。
※4 圧入する杭をつかみ圧入力を加える部位のこと
※5 空頭制限下で長い杭を建て込めない場合に、短い杭を溶接などで継ぎ足しながら施工すること

■CLW100を用いた上部障害クリア工法がNETISに登録
このような新規性が評価され、CLW100を用いた上部障害クリア工法が、国土交通省が運用する新技術情報提供システム「NETIS」に登録されました。本技術を活用することで、工事成績評定や総合評価方式における加点数がアップします。
登録番号 | KT-220232-A |
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技術名称 | 上部障害クリア工法 (U 形鋼矢板500mm・600mm 対応) |
登録日 | 2023年3月9日 |
施工機械 | CLW100 |
適用杭材 | U 形鋼矢板 500mm幅:ⅤL型、ⅥL型 600mm幅:Ⅲw型、Ⅳw型 |
最小施工可能 クリアランス (杭天端~上部障害物 ) | 圧入時 :1750mm 後退自走時:2000mm |
■CLW100の施工実績
CLW100の施工実績を紹介します。本工事は河川堤防の地震・津波対策として鋼矢板を圧入するものです。道路橋の桁下部はクリアランスが3.2mと厳しい条件でしたが、その中でも施工可能な上部障害クリア工法が採用されました。CLW100を使用することで、最大3.0mの鋼矢板を継ぎ足すように計画され、桁下部を含む堤防全体を災害に粘り強く耐えられる構造へと補強することができました。

工事名 | 国分川(久万川)地震高潮対策工事(地震高潮第54-2号) |
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工事目的 | 河川堤防の地震・津波対策 |
工事場所 | 高知県高知市布師田 |
施工機械 | CLW100 |
杭材 | 鋼矢板Ⅲw型、鋼矢板長14.5m 4箇所継:48枚(桁下部) 5箇所継:48枚(桁下部) 1枚物 :10枚(桁外部) |
最小施工可能 クリアランス | 約3.2m ※杭天端~上部障害物 |
地盤条件 | シルト質粘土(最大N値10) |
このほかにも上部障害クリア工法の施工実績は多数ございます。
こちらのリンクよりぜひご覧ください。
■おわりに
インフラの長寿命化、国土強靭化を進めるうえでは、様々な条件下で杭を地中に貫入させる技術が求められます。工法選定や施工検討でお困りの方は、ぜひ一度下記連絡先までお問い合わせください!
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