株式会社技研製作所(本社:高知市、代表取締役社長:森部慎之助)は、これまでの当社圧入機では施工不可能だった、老朽化が進んでいる都市部の橋梁等の上部クリアランス2.5mの空頭制限がある硬質地盤の現場において、直径1000㎜の鋼管杭の圧入を実現する超低空頭対応の鋼管杭回転切削圧入機「ジャイロパイラーⓇ※1」を開発しました。(特許出願中)
新型機は、機体各部の回転機構の改良により、従来の低空頭対応「ジャイロパイラーⓇ」に比べて施工可能な最小の上部クリアランスを4.5mから2.5mに大幅縮小。建て込める杭の長尺化も叶え、継施工※2時における投入杭の本数や溶接箇所を削減し、施工効率を大幅にアップさせました。本機は「厳しい空頭制限」に「硬質地盤」の条件が重なって手付かずとなっている橋梁の耐震化、橋梁部の河川護岸の補強といった現場に画期的なソリューションを提供します。地震災害時における交通確保等の国土強靭化やインフラの長寿命化、サステナブルな社会に貢献します。
本機はまずグループ企業の株式会社技研施工(本社:高知市、代表取締役社長:西川昭寛)が現場導入し、施工実績、改良を重ねたうえで市場投入する予定です。新型機を通じて技研グループが競争力を持つ圧入市場をさらに開拓し、当社グループひいてはユーザーの売上、収益の拡大につなげます。
※1 鋼管杭回転切削圧入工法「ジャイロプレス工法Ⓡ」専用の圧入機です。本工法は鋼管杭に切削爪を付けて回転圧入することで硬質地盤やコンクリートなどの地中障害物を貫通し、粘り強いインプラント構造物を構築します。
※2 空頭制限下で長い杭を建て込めない場合に、短い杭を溶接などで継ぎながら施工すること

超低空頭対応「ジャイロパイラーⓇ」による施工イメージ図 ※イメージであり開発機の機体色とは異なります。
■新型機の主な特長
【杭を機械側面から横向きに投入可能】
▶従来機は吊り込み装置で上部から杭を投入
従来機は機体と一体となった吊り込み装置で杭を吊り、機械上部から投入していたため、上部障害と干渉しないよう一定のクリアランスが必要でした。
▶新型機は横から杭を投入
新型機は、リーダーマスト※1 とチャック本体※2 を90°回転できる構造とし、吊り込み装置の代わりに専用の杭投入装置を用いて機械側面から杭を横向きに投入できるようになりました。これにより施工可能な上部クリアランスの縮小を実現。建て込める杭の長尺化により、継施工の作業において投入杭の本数や溶接箇所を削減できるため、工期、工費の縮減が可能です。
※1 圧入杭の上下打ち抜きのガイドや左右位置の決定を行う部位
※2 圧入する杭をつかむ部位

① 基本姿勢

② リーダーマスト90°旋回

③ チャック本体 90°回転

④ 杭投入

⑤ チャック本体 90°回転

⑥ リーダーマスト旋回、 杭投入完了
【杭投入姿勢の自動復帰機能を搭載】
新たに、杭投入姿勢の自動復帰機能を搭載。操作や判断にタイムラグが生じる杭投入時の姿勢修正をボタン一つでスムーズに行えるため、現場の負担を軽減します。
■従来機との比較
▶最小施工可能上部クリアランスの縮小により、施工可能な範囲が大幅に拡大

左:従来機 右:新型機
▶より長い杭を建込めることにより、継箇所数を削減可能

左:従来機 右:新型機
■今後の期待
新型機を用いれば、厳しい空頭制限がある硬質地盤の現場においても、橋げたの撤去や迂回道路の設置が不要となり、周辺交通や地域経済に影響を与えることなく、容易に橋梁下部工や基礎工の補強が可能となります。国土強靭化、インフラの長寿命化を背景に低空頭案件に対する問い合わせの増加が予想される中、2.5m の上部クリアランスで施工できる超低空頭対応「ジャイロパイラーⓇ」があれば対策が一気に進むという声が発注者から上がっており、新型機には大きな期待が寄せられています。
■基本性能
適用杭材 | 鋼管杭Φ1000 mm |
圧入力 | 1500 kN |
引抜力 | 1600 kN |
最大回転トルク | 600 kN・m |
最大回転数 | 12.0 min-1 |
チャック上下ストローク | 700 mm |
回転圧入スピード | 0.8~6.3 m/min |
回転引抜スピード | 0.6~4.7 m/min |
最小施工可能上部クリアランス | 2500 mm |
圧入機本体質量 | 25550 kg |
■技研グループ概要
「圧入原理」を世界に先駆け実用化した杭圧入引抜機「サイレントパイラーⓇ」を製造開発し、その優位性を生かしたソリューションを提案・実践しています。無振動・無騒音、省スペース・仮設レス、地震や津波、洪水に耐える粘り強いインフラの急速構築――。圧入技術が提供するオンリーワンの価値は、世界の建設課題の解決や国土防災に貢献しており、採用実績は40以上の国と地域に広がっています。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社技研製作所
高知本社/高知県高知市布師田3948番地1
TEL:088-846-6783(平日8:00~17:00) 広報担当:林
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