<ICT製品、事例紹介>
杭精度管理/出来形資料の自動作成
3次元モデルで構造物を“見える化”
~「インプラント NAVITM」のICT施工~
■建設のICT化
労働力不足の解消や生産性向上を目指して近年、建設技術のICT化が官民を挙げて進められています。
今回ご紹介するのは、施工中の杭の貫入深度、変位、傾斜データをリアルタイムに取得し、高精度な杭の施工品質管理と各種出来形資料の自動作成、3次元モデルの作成を実現する杭精度管理システム「インプラント NAVI※」です。
※ ハット形鋼矢板、鋼管矢板、鋼管杭に適用できます。

■NETIS登録技術
インプラント NAVIはNETIS(国土交通省新技術情報提供システム)登録技術です。NETISに登録された技術を活用した場合、最大で1.2点が工事成績評定に加点されます。
登録番号:SK-190009-A
■従来の杭精度管理
従来は杭の精度管理をトランシットやレベル、水準器による計測で行い、出来形帳票や出来形図はその計測データを基に手作業で作成していました。多くの時間と労力を要したほか、測定、計算ミスが起きる可能性を排除できませんでした。
■各種施工データをリアルタイムに自動取得。施工をナビゲート
インプラント NAVIは、杭天端に設置した光学装置「360°プリズム」とトータルステーション(TS)と呼ばれる計測機器で杭の座標位置や貫入深度、変位、傾斜データを高精度に計測し、杭挙動をリアルタイムに確認しながら施工管理ができるシステムです。TSの自動追尾機能により自動計測できます。

■出来形帳票の自動作成と遠隔監視
杭一本ごとの計測データはノートPCに蓄積され、施工図(2DCAD)の計画線上に実測値が自動的にプロットされます。加えて、完成杭のデータを基に電子納品用フォーマットで出来形帳票を出力できます。
また、ネット環境があれば現場から離れた現場事務所等でも遠隔監視が可能で、リアルタイムにデータチェックが行えます。

■3D-CADとの連携
施工前の杭の設計データと土質柱状図を3次元基本出来形図として作成することもできます。3次元モデルで構造物を「見える化」することで、関係者間で合意形成の迅速化・高度化が図れます。また、後工程や維持管理段階での工程を事前検討することで課題・トラブルを解決、予防することができます。


■国土地理院の3Dデータを利用可能
国土地理院が公開している電子国土データを使うことができます。工事範囲に合わせて自由にデータを選択できます。

■ドローンで撮影したデータにも配置可能
3Dで作成された図面と現場データのリンクが可能。2Dや3Dでデータを確認でき、ユーザーに分かりやすく表示することができます。

■Excelデータとの連携
3DデータとExcelを連携することができ、双方向的に属性の確認ができます。3Dデータ側で杭をクリックすれば、該当のExcel情報を見ることができ、逆にExcel側で該当のセルをクリックすれば3Dデータ上でその杭にズームし、ハイライト表示されます。

■適用事例のご紹介
工事名 | 隅田川(相生橋下流)左岸防潮堤防耐震補強工事(その2)及びテラス工事(その3) |
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工種 | ジャイロプレス工法TM |
杭種 | 鋼管杭 |
計測杭本数 | 46本 |
期間 | 2019年6月11日~11月21日(鋼管杭圧入時~地盤改良後の出来形測定) |



計測状況




■インプラント NAVI オプションシステム
インプラント NAVIには以下の6つのオプションがあります。オプションは複数の組み合わせが可能です。施工条件によっては検討を要する場合がありますのでお問い合わせください。
▶小口径鋼管杭精度管理システム
鋼管杭の杭間止水方法として用いられ、高い施工精度が求められる小口径鋼管杭の施工で精度管理を行います。本システムにより、施工済みの鋼管杭に精度よく沿った状態で小口径鋼管杭を施工できるよう管理が可能になります。
▶締切閉合支援システム
杭施工管理データから作成した3次元モデルを用いて閉合シミュレーションを行います。鋼管矢板・鋼管杭を用いた円形締切りや矩形締切りに適用できます。任意の杭位置から閉合部までの杭間距離や傾斜を3次元モデルで確認できるため、事前に締切閉合部の施工可否を判断し、対策することができます。
▶鋼管継ぎ施工精度管理システム
杭を溶接で継ぎ足しながら施工する継施工において、溶接の精度管理を行います。地中部の杭の傾斜データに合わせて上に継ぎ足す杭の傾斜を一致させるようにナビゲーションし、「くの字」に曲がった状態で溶接されないように精度管理できます。
▶ハット形鋼矢板計測システム
継ぎ手部の上下2カ所に取り付けたプリズムを自動計測することで、施工中の鋼矢板の変位と傾斜、座標位置をリアルタイムに管理します。
▶3次元モデル作成システム
インプラント NAVIと圧入管理システムを用いて施工された完成杭のデータを基に、CIMデータとして納品可能な3次元モデルを作成します。また「インプラント NAVI Viewer」をインストールすることで、発注者と3次元モデルデータの確認・共有を行うことができます。
▶小型ネットワーク式傾斜計併用システム
鋼矢板・鋼管矢板の施工精度管理を行う際、インプラント NAVIは、地上部の計測データから地中部の進入角度を推測して数値化しています。杭材に「小型ネットワーク式傾斜計」を取り付けることで杭先端の位置を計測し、インプラント NAVIの計測データと照合することで、より高精度な施工が可能となります。