インプラントロック堤防

「決壊しない堤防」への転換

世界的な気候変動により、毎年各地で大規模な水害が多発しています。その被害が甚大化する最大の要因は「堤防の決壊」です。一般的な河川堤防は土を盛っただけの「土堤」であり、川の増水や越水に耐えられない科学的要因を内包しています。

「インプラントロック堤防」は「インプラント構造」による2列の鋼矢板連続壁と妻壁をこの「土堤」内に構築することで、粘り強い堤防に強化するものです。圧入機「サイレントパイラー」と仮設工事の不要な「GRBシステム」の複数台同時施工によって、周辺の交通、生活環境に影響を与えることなく省スペースで急速に構築できます。

河川堤防の決壊要因

1976(昭和51)年に発令された国の河川管理施設等構造令の19条は「堤防は、盛土により築造するものとする」と定めています。堤防内部には土以外のものは入れてはいけないという決まりで、これを「土堤原則」と呼んでいます。
しかし、水を含んだ土がもろくなるのは自明の理であり、河川の増水による越水・浸透・浸食により堤体の強度が落ちることで決壊に至ります。

越水破壊

浸透破壊

浸食破壊

地震にも強いインプラントロック堤防

「インプラントロック堤防」は、越水や浸透で盛土が削られても壁体自体が堤防機能を保って破堤を防ぎます。加えて、地震時には2列の鋼矢板と妻壁によって囲まれた地盤を「拘束」すること(拘束地盤免震)で液状化地盤の流動を抑制して地盤沈下を抑えます。越水や浸透だけでなく、大地震が生じても「壊れない」ことを目指した構造がこの堤防の大きな特徴です。

模型で解説 -インプラントロック堤防-

CGや模型を用いて土堤の決壊要因やインプラントロック堤防の構造、優位性などについて視覚的に分かりやすく解説しています。

適用例

■高知海岸堤防改良工事 仁ノ工区(高知県高知市)/国土交通省 四国地方整備局 高知河川国道事務所

河川堤防においては「土堤原則」に阻まれているため実績はありませんが、高知海岸堤防改良工事の一部区間でこの構造が採用されています。

■岩手県下閉伊郡山田町織笠(しもへいぐん やまだまち おりかさ)

東日本大震災時に岩手県の織笠川の河口付近で、防潮水門建設のための仮設締切構造物として同様の構造が採用されていました。周辺の河川堤防は破堤し、住宅地は壊滅状態であったのに対し、鋼矢板二重締切工とその中に建つ水門には、津波の爪痕がほとんど見受けられず、図らずもその耐震性・耐津波性能の高さが証明されることとなりました。

無事だった建設中の防潮水門と、壊滅的に被災した織笠地区

仮設構造物でありながら地震動と津波に耐えた鋼矢板二重締切工

仮設構造物でありながら地震動と津波に耐えた鋼矢板二重締切工

表層の中詰土は流失したが躯体はほぼ無傷

表層の中詰土は流失したが躯体はほぼ無傷