圧入原理

 

施工方法で異なる構造体の性能

 

同じ地盤に同じ杭を施工しても、工法が異なれば完成した構造体の性能は異なると考えられます。在来工法では、打撃によって杭を叩き込む、振動によって打ち込む、削孔して落とし込むといった方法で構造体をつくります。一方、静荷重で杭を押し込む 「圧入工法」では、地盤をいたずらに乱すことなく土を縦横に押しのけながら杭を地中に割り込ませていきます。そのため、圧入杭の先端部に「圧力球根*(ヨーロッパでは「玉ねぎ球根」)と呼ばれる圧密された土の塊ができるといわれています。この圧力球根の作用により、圧入杭は水平方向と垂直方向のいずれにも強く、構造体として理想的な 「圧入杭基礎」 の構築が可能になるのです。

 

  *圧力球根や閉塞の生成メカニズム、またその効果などについては英国のケンブリッジ大学工学部と共同研究を行っており、学術的アプローチから徐々にその性質が明らかになりつつあります。

 

 

圧入施工情報にもとづく設計方法 (Performance Related Design) が可能

 

施工方法の違いにより、完成した構造体の性能は異なると考えられるものの、今日の建設業界では、いかなる施工方法に対しても同じ設計方法が適用されています。本来、 設計方法 には施工方法の特性と、建設される構造体の性能が合理的に反映されるべきですが、目に見えない土中のことだけに、決定的な土圧理論や支持力理論がいまだに確立されておらず、過剰な安全率に頼った保守的な設計方法を用いざるを得ない状況なのです。

 

そこで圧入杭の特長に着目します。圧入工法では一本一本の杭に静荷重を加えて圧入杭基礎を構築します。つまり、上部構造物が建設されたときの載荷試験を、圧入杭が施工されているときにも行っているといえるのです。しかも圧入杭の挙動は油圧で制御されるため、施工中の圧入力、周面抵抗力、先端抵抗力、圧入ストローク、杭の貫入深さなどの圧入施工情報を機械的に計測し記録することができます。その載荷結果(パフォーマンス)は、最終的な構造体としての性能に高い関連性をもっている(リレイティド)ため、圧入杭の実態が強く反映された合理的な設計方法(デザイン)が可能になるのです。これは圧入杭の大きな特長で、この「パフォーマンス・リレイティド・デザイン」の思想 は特に海外において、これからの設計方法の大きな潮流になりつつあります。